島しょ国に気象データ提供へ=岸田首相、島サミットで表明
日本政府は太平洋島しょ国・地域の災害対策を後押しするため、日本の気象観測データを提供する方針を固めた。16~18日に東京都内で開かれる「太平洋・島サミット」で岸田文雄首相が表明する。太平洋で影響力を強める中国に対抗する狙いがあり、島サミットでは安全保障を含めた幅広い協力をうたった首脳宣言を採択する見通しだ。
島サミットは1997年以降、日本政府の主導で3年ごとに開いており、今回で10回目。新型コロナ禍と重なった2021年はオンライン形式での開催だったため、対面の会合は6年ぶりとなる。岸田首相が共同議長を務め、計18の太平洋島しょ国・地域の首脳らが参加する。
太平洋島しょ国・地域は近年、地球温暖化に伴う災害リスクの高まりに頭を悩ませている。日本政府はサイクロンや津波への対策に役立ててもらうため、準天頂衛星「みちびき」を通じて気象庁の観測データを共有する方針だ。まずフィジーで実証事業を行い、全体に広げる。
安全保障分野では「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の対象国にパプアニューギニアやトンガを追加し、防衛装備品を無償で供与する方向で調整している。一方、首相は東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出について説明し、理解を求める。
太平洋島しょ国・地域では近年、中国がインフラ整備などを通じて影響力を拡大。ソロモン諸島が2022年に中国と安全保障協定を締結し、ナウルも今年1月に台湾と断交して中国と国交を結んだ。外務省幹部は「この地域は安全保障上非常に重要だ。信頼関係を固め直したい」と話した。
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