「品位おとしめる拷問」=五輪汚職で逮捕の角川氏―不当拘束と国提訴・東京地裁
東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で逮捕、起訴されたKADOKAWA元会長の角川歴彦被告(80)が27日、無罪を主張するほど身柄拘束が長引く「人質司法」によって精神的苦痛を受けたとして、国に2億2000万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。記者会見した角川氏は「品位をおとしめる拷問と感じた。人質司法の問題を正面から受け止めてほしい」と訴えた。
角川氏側は、人質司法が不当な身柄拘束を禁じた憲法34条や、推定無罪の原則を定めた同31条などに違反すると主張。村山浩昭弁護団長は「憲法などに照らして日本の刑事司法の現状がどうなのか問いたい」と話した。
角川氏は2022年9月14日、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(80)=公判中=への贈賄容疑で東京地検特捜部に逮捕され、翌月起訴された。一貫して無罪を訴え、勾留は23年4月27日に保釈されるまで7カ月余りに及んだ。
角川氏は訴状で、心臓に持病を抱え手術を控えていたのに、検察官が考慮せず逮捕、勾留したのは違法だと主張。裁判官も逮捕などの必要性を正しく判断しなかったと訴えた。角川氏が意識を失ったこともあったが、検察官は勾留を取り消さず保釈に反対し、裁判官も保釈請求を複数回却下したと指摘した。
その上で、「二度と同じような悲劇を生まないための公共訴訟」と位置付け、判決で賠償が認められた場合は拘置所の医療改善のために賠償金を寄付する方針だと表明した。
弁護団は27日、国連人権理事会の「恣意(しい)的拘禁に関する作業部会」にも、角川氏の身柄拘束の状況を通報。国際的な調査を促したい考えだ。
新河隆志・東京地検次席検事の話 訴状の内容を承知しておらず、コメントは差し控える。
[時事通信社]
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