「戦争二度と」「安らかに」=平和の礎で遺族ら祈り―沖縄慰霊の日
「慰霊の日」を迎えた23日朝、糸満市摩文仁の平和祈念公園には、早朝から多くの遺族が訪れた。岸田文雄首相の追悼式参加を受け、多くの警察官が巡回する物々しい雰囲気の中、遺族らは「平和の礎」に刻まれた肉親の名前に向かって手を合わせた。
具志光雄さん(76)=那覇市=は、壕(ごう)の中で亡くなった祖父ら親族7人に「あなた方のおかげで、今の私たちがある」と感謝を伝え、水や果物を供えた。いつ亡くなったか定かでなく、6月23日を「命日」にしているという。「ずっと平和な時代が続いてほしい」と願った。
大城清行さん(84)=那覇市=は、艦砲射撃の犠牲となった祖母と3人の兄、破傷風で亡くなった父に「安らかに眠ってください」と語り掛けた。
当時4歳だった大城さん。祖母らは隠れていた壕(ごう)から日本兵に追い出され、家族で糸満市まで逃げる途中、目の前で亡くなったといい、「あの光景は今でも鮮明に覚えている。戦争はやってはいけない。対話で解決を図るべきだ」と訴えた。
短大1年の嘉数れあさん(19)=那覇市=は、礎に曽祖父の名が刻まれている。「たくさんの人が亡くなったことを刻まれた名前で実感する。しっかりしようという気持ちになる」と言う。弟の光弥さん(16)は「戦争は駄目だとここに来て感じる」と話した。
金城秀子さん(79)=那覇市=は、軍に召集された父の行方が分からない。ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザに触れ、「戦争は二度と起こしてはいけない」と訴えた。
高良正信さん(83)=豊見城市=は、どこで、どのように亡くなったのか分からない姉2人と、3歳で亡くなった姉の息子、正勝ちゃんのお参りに来た。正勝ちゃんと仲良しだったといい、報道されるガザの様子などにその姿を重ね、「子供が死んでいるのを見るとかわいそうに思う」と語った。
[時事通信社]
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