新紙幣、出番まで2週間=準備着々、自販機は遅れ
来月3日に新紙幣が発行されるのを前に、国立印刷局は19日、印刷などの工程を報道陣に公開した。2004年以来20年ぶりのデザイン刷新で、偽造防止のため世界最新の技術を導入した。新紙幣への対応では、金融機関の多くのATMが改修を終えた。一方、飲料の自動販売機は約7割が未対応となる見込み。
1万円札の肖像には渋沢栄一、5千円札は津田梅子、1000円札は北里柴三郎を採用。偽造防止のため、傾けると肖像が立体的に動いて見える3次元(3D)ホログラムを世界で初めて紙幣に導入したほか、透かし部分には緻密な模様を入れた。現行紙幣よりも額面の数字を大きくしたり、お札の種類ごとに識別マークの位置を変えたりと、外国人や高齢者、目が不自由な人たちも分かりやすいデザインにしたという。
新紙幣発行後も現行紙幣は使用可能。ただATMや自販機などが新紙幣に対応するには、機器の改修や交換が必要だ。業界団体の日本自動販売システム機械工業会によると、発行までにATMの9割以上、駅券売機や小売店のレジの8~9割で準備が整う見通しだ。
一方、全国に約220万台ある飲料の自販機では、発行時点で対応を終えるのは2~3割にとどまるという。業界団体の担当者は「新紙幣が利用者の手元に出回るまでは不便の声が上がりにくく、後回しにしているところも多いのではないか」と分析。キャッシュレス対応自販機の普及で消費者側の決済手段が多様化している面もあり、切り替えには一定の時間がかかりそうだ。
[時事通信社]
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