岸田首相、政権維持へ正念場=規正法、与野党攻防が激化―後半国会
岸田文雄首相(自民党総裁)は6日、フランス・南米訪問を終えて帰国する。大型連休明けの後半国会は、自民の派閥裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、与野党の攻防が激しさを増すのは必至。4月の衆院3補欠選挙で「全敗」し、求心力低下に歯止めがかからない首相にとっては、9月の党総裁任期満了を控え、政権維持に向けた正念場となる。
「内外の諸課題に専念し、結果を出すことが重要だ。それ以外は現在考えていない」。ブラジル・サンパウロで現地時間4日に開かれた内外記者会見。首相は、党総裁選や衆院解散・総選挙の対応を問われ、こう強調した。
首相は帰国後、党政治刷新本部メンバーと面会し、規正法改正など政治改革の方向性を協議する。自民は議員本人の罰則強化に加え、政治資金パーティー券購入者の公開基準引き下げを打ち出す方向。国会議員に月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開も検討する。
これに対し、立憲民主党や日本維新の会、共産党は企業・団体献金の禁止も主張。立民はさらに、パーティーの全面禁止を訴える。自民が受け入れを拒めば、6月23日までの今国会会期末に合わせ、内閣不信任決議案の提出も視野に入れる。
総裁再選を目指す首相は、局面転換のための会期末解散をなお、選択肢として温存している。規正法改正に注力して世論の信頼回復を図りつつ、今月26、27両日で調整中の日中韓首脳会談、6月の先進7カ国首脳会議(G7サミット)と続く「首脳外交」を通じて指導力をアピール。同月はまた、肝煎りの定額減税も実施予定で、政権浮揚への期待を込める。
ただ、補選惨敗により党内を「首相の下で解散はできない」(中堅)との危機感が覆う。若手の一人は「首相が『解散』と言い出せば政権は崩壊する」とけん制。自発的な退陣を求める声すら漏れる。
会期末解散を見送った場合、衆院選を経ないままの総裁選が想定される。現時点で「岸田降ろし」の機運は乏しいものの、来年夏の参院選、同年10月の衆院議員任期満了を見据え、新たな「選挙の顔」を望む議員心理が今後、強まる可能性もある。
実際、閣僚経験者は「首相を3年も務めたら続投は諦めてほしい」と強調。内閣支持率の低迷が続けば、総裁選の出馬断念に追い込まれるシナリオが現実味を帯びる。
[時事通信社]
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