規正法攻防、本格化へ=波乱含みの終盤国会―20日に首相質疑
週明けの国会は、自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡る与野党の攻防が本格化する。自民党は月内の衆院通過を目指し、単独提出した改正案を土台に与野党の修正協議で着地点を探りたい考え。だが、野党は「自民案は抜け穴だらけ」と猛反発し、公明党もより厳しい法整備を訴える。6月23日の会期末までの成立は見えず、終盤国会は波乱含みの展開も予想される。
攻防の最初の舞台となるのは予算委員会だ。20日に衆院、22日に参院で、岸田文雄首相(自民総裁)も出席して集中審議が行われる。野党は同日の衆院政治改革特別委員会で始まる改正案審議の前哨戦と位置付けており、真相究明を含め首相の姿勢をただす方針だ。質問に立つ立憲民主党の野田佳彦元首相は16日のBSフジ番組で「『何をやっているんだ自民党』と厳しく問いたい」と語った。
規正法改正の各党案は22日の衆院特別委で審議入り。同日に提案者による趣旨説明、23、24両日に質疑が行われる方向だ。
自民案は、議員本人の責任を厳格化する「連座制」を導入し、政治資金パーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「10万円超」に引き下げるのが柱。事件への強烈な批判を意識した公明が「5万円超」を譲らなかったため、与党案の共同提出は断念せざるを得なかった。
立民は20日、国民民主党、衆院会派「有志の会」と共に対案を提出する。自民案より厳格だとする連座制導入に加え、使途公開が不要な政策活動費の禁止を明記。立民は「自民案はレベルが低い」(泉健太代表)として3党・会派案の「丸のみ」を与党に求めていく構えだ。
ただ、野党の足並みがそろっているわけではない。政治資金パーティーの在り方を巡っては3党・会派の意見が一致せず、立民はパーティーを全面禁止する独自案を20日に単独で提出。日本維新の会は調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開を盛り込んだ案を22日までに提出する。共産党はパーティー券購入を含む企業・団体献金を全面禁止する案を既に参院に出している。
特別委と並行して行われる見通しの修正協議では、公明の動向も焦点となる。自民案に反対すれば連立に亀裂が入りかねず、安易に賛成すれば批判は避けられないためだ。泉氏は17日の記者会見で「自民につくなら『クリーンな政党』の名が廃る」とけん制。首相は記者団に「公明と力を合わせ」て成案を得る考えを3度繰り返した。
[時事通信社]
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