磨いた左ボディー、王者崩す=西田、接近戦でも上回る―ボクシング世界戦
作戦はずっと前から決めていた。西田は「相手の試合を見ていて、ボディーを嫌がっていると思った。『前に出て左ボディー』をひたすら練習していた」。4回、その狙い澄ましたパンチを相手のみぞおち付近にさく裂させると、ロドリゲスは顔をゆがめて崩れた。
「まさか倒れるとは思わなかった」という一撃で一気に勝利に近づいたかに思われたが、相手も経験豊富な実力者。一転して5回と6回は右ストレートを中心とした反撃を受け、劣勢になりかけた。「このままだとしんどい展開になる。無駄に下がらないように意識した」。武市トレーナーの指示も受け、接近戦での打ち合いを決断。アウトボクシングを得意とする自身のスタイルを捨てて勝負に挑み、互角以上に戦った。「世界チャンピオンになるんだろ」。トレーナーからの後押しに気合が入り、最後まで拳を振るい続けた。
悲願達成後は二人三脚で歩んできた妻に向け、「(ベルトを)取ったで」と喜びを表現。近大在学時は実績を残せず、一度は製パン会社に就職した27歳。前評判を覆して勝利した新王者は右まぶたを腫らしながら、「夢みたい」と充足感に浸った。
[時事通信社]
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