2024-04-30 18:53政治

首相、政権立て直しに全力=補選全敗、退陣論を警戒

 岸田文雄首相は30日、衆院3補欠選挙の全敗を踏まえた自身の責任について「党総裁として課せられた課題に取り組み、結果を出すことで果たしていかなければならない」と述べた。退陣論が広がるのを警戒しているとみられ、立て直しに全力を挙げる姿勢を示すことで政権の安定を図る狙いだ。衆院解散や党執行部人事に否定的な考えも表明した。
 首相官邸で記者団の取材に応じた。補選後に首相が公の場で語るのは初めてで、「真摯(しんし)に重く受け止める」と強調。特に自民が唯一候補を立てて敗れた島根1区について「政治資金問題が大きく足を引っ張った。地元に申し訳ない」と陳謝した。
 その上で政治改革や物価対策を挙げ、「課題に一つ一つ答えを出し、国民の信頼回復に努めたい」と語った。衆院解散について「全く考えていない」と明言した。
 政治改革に関しては「政治資金規正法改正以外の課題でも党の方向性を明らかにしたい」と述べた。調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開が念頭にあるとみられる。
 公明党の山口那津男代表は30日の記者会見で、補選の結果は「自民裏金事件への厳しい評価が表れている」と指摘。投開票日の28日夜に首相から電話で謝罪があったと明かした。
 公明にも次期衆院選に向け不安が広がる。山口氏は自民案で「検討項目」とされた政策活動費の使途公開などに触れ、「透明性強化へ積極的な対応を求めたい」と強調。解散に関しては「信頼回復に力を注ぐことが一番大事だ」と述べた。
 一方、立憲民主党の岡田克也幹事長は会見で、補選結果について「自民の政治改革案が駄目だとはっきり示された」と主張。立民案は公明案とも共通点が多いとし、「(自民に)正面から問うていく」と語った。
 共産党の小池晃書記局長は「補選の結果は岸田政権に対する明白な不信任の審判だ」として解散を要求。企業・団体献金の全面禁止などを迫っていく考えを示した。 
[時事通信社]

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