円安加速、155円70銭台=政府の「防衛ライン」探る―外為市場
円相場は25日もドルに対して一段と下落し、東京外国為替市場で一時1ドル=155円74銭を付けた。1990年以来、約34年ぶりの安値水準を更新した。政府・日銀が円買いの為替介入に踏み切る「防衛ライン」を探りながら円の下値を試す展開が続いた。午後5時現在は155円62~63銭と前日同時刻比72銭の円安・ドル高。
市場では、米国の利下げ開始が先送りされ、緩和的な金融環境が続く日本との金利差が縮小しないとの見方から、円売り・ドル買いが進みやすくなっている。24日夜に155円台に突入し、25日早朝のニューヨーク市場で米長期金利の上昇を受けて155円37銭まで進行。東京市場でさらに円安が進んだ。
政府・日銀は2022年10月、151円90銭台まで円安が進んだ局面で円買い・ドル売り介入を実施した。このため市場は152円を防衛ラインと警戒していたが介入は見られず、次の心理的な節目として155円を意識していた。第2の防衛ライン突破で「いつ介入が実施されてもおかしくない」(大手邦銀)との指摘が聞かれた。
鈴木俊一財務相は25日の国会答弁で「適切な対応をしていく思いは、いささかも変わらない」と強調し、円安の進行をけん制した。
円安の背景にある日米金利差の行方を占う上で、市場関係者は植田和男日銀総裁が26日の金融政策決定会合の終了後に行う記者会見に注目する。米利下げ時期を探る上で同日夜に米商務省が発表する物価指標にも関心を寄せている。
市場では、植田氏が円安による物価高への影響を考慮して追加利上げに前向きな発言をするとの見方や、政府が日銀決定会合の結果公表後に介入に踏み切るとの見方も出ている。
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