2024-04-24 19:01スポーツ

「小さな巨人」が現役に幕=田中、ラグビーに感謝

現役引退を表明した田中史朗(中央)。左は松島幸太朗、右は松田力也=24日、東京都内
現役引退を表明した田中史朗(中央)。左は松島幸太朗、右は松田力也=24日、東京都内

 身長166センチで戦い続けた「小さな巨人」がジャージーを脱ぐ。スーツに身を包んだ田中は「この小さな体で、日本代表としてW杯で新しい歴史を築けたことを誇りに思う」。筋肉も、ラグビーへの思いもぎっしり詰まった体で胸を張った。
 身を引く理由は明快。「体がきついし、下にもいい選手がいる。限界を感じて決断した」。頭と動きが一致しない歯がゆさ。2カ月前に決断を伝えた妻からねぎらわれ、こう感じたという。「肩の荷が下りた」
 開拓した道が、日本ラグビーの成長に直結した。日本人で初めてスーパーラグビーに挑戦。W杯には主力として3度出場し、弱かった日本を南アフリカなど強豪にも勝てるチームにした。思い出の一つは、初出場の2011年W杯1次リーグで喫した1分け3敗の惨敗。「人気を落とした危機感と責任感を覚えた」。その屈辱をバネにした。
 記者会見の最後。日本代表の戦友、松島(東京SG)と松田(埼玉)からサプライズの酒と花束を受け取り、「我慢してたのに」と涙をこぼした。仲間への苦言もいとわない厳しさと、厚い人情が同居するからこそ愛された39歳。「ラグビーは人生そのもの。自分を成長させてくれた」。次の野望は代表ヘッドコーチの座。夢はまだ続く。
[時事通信社]

最新動画

最新ニュース

写真特集