政権、報復で「ジレンマ」=米国慎重姿勢、ガザ戦闘が負担―イスラエル
【カイロ時事】イランから攻撃を受けたイスラエル政府は14日、米国などの意見を踏まえ、対抗措置を慎重に検討している。専門家は「(ネタニヤフ政権は)ジレンマを抱えている」と分析。イランと本格的な報復の応酬に発展すれば、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルにとって大きな負担になる。
「われわれを傷つける者をわれわれは傷つける」。イランの攻撃に先立ち、イスラエルのネタニヤフ首相はこう繰り返し、対抗措置を取る構えを示してきた。ただ、政権内で、タイミングと規模に関して意見の相違があると報じられている。
米国や、サウジアラビアなど中東諸国は慎重な対応を求めている。米国は、ハマスとの戦闘や今回の攻撃でイスラエルを支援。また、イスラエルは、アラブ諸国との関係正常化を進めて対イラン包囲網を形成したい思惑がある。米国やサウジなどの声はむげにできない。
イスラエルの国家安全保障研究所のシマ・シェーン上級研究員は、イランへの報復を支持しつつも、「待って考えるべきだ」と指摘。焦点は「(ネタニヤフ氏が)待つという判断を下せるかどうかだ」と語った。
イスラエルとハマスの戦闘は終結が見通せず、ハマスに呼応するレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも攻撃を継続。イスラエルは、イランがハマスやヒズボラを支援していると非難している。これらの情勢を念頭に、ネタニヤフ氏がイランへの厳しい対応が必要だと判断する可能性もある。ただ、「戦線拡大」はイスラエルにとってもリスクとなる。
[時事通信社]
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