発生1週間、際立つ迅速対応=700人の孤立解消、傾斜ビル撤去―過去の被災教訓・台湾地震
【台北時事】台湾東部・花蓮沖を震源とする強い地震の発生から10日で1週間。台湾当局は25年前に甚大な被害をもたらした中部地震以来「最大規模」の揺れと説明し、負傷者は1160人を超えたが、死者は13人、安否不明者は6人にとどまっている。一時700人に上った孤立状態の早期解消など、当局や民間の迅速な対応が際立った。
被害の大部分は震源地に近い花蓮県に集中。特に観光地「太魯閣(タロコ)国立公園」では12人が落石などで死亡し、6人の捜索が続く。
同公園では落石や土砂崩れで道路が遮断され、一時は外国人観光客を含む700人以上が鉱山や渓谷のホテルなどに取り残された。消防当局は地震翌日の4日朝からヘリコプターで救出や物資運搬を開始。並行して道路のがれきの除去を急ぎ、7日までに孤立状態が解消した。渓谷のホテルでは温かい食事も提供され、ヘリで救出された日本人女性2人は現地テレビに「台湾の方たちに感謝です」と笑顔を見せた。
1999年の中部地震は都市部などで2400人以上の死者を出した。今回揺れが強かった地域は山間部で、人口や建物が少なく被害が抑えられたと指摘されている。加えて、過去の被災経験に基づき、民間による救援活動や制度面において改善が進んだことも震災対応で役立った。
太魯閣よりも震源地に近い花蓮市では、傾斜したビルの解体工事が地震当日に始まった。余震で完全に倒壊し新たな犠牲者が出るのを防ぐためだ。09年に施行された法律では、地震や台風で被災した建物を専門家が個別に調査し、倒壊リスクの程度によって赤や黄色に分類。赤と判定されれば所有者の同意なく当局が撤去できる。
慈善団体や住民の協力によって各避難所の運営も順調で、寄付された食料や生活必需品が素早く届いた。台湾で災害支援活動を積極的に行っている南部・台南市日本人協会の野崎孝男・前理事長によると、地震当日に被災地の支援団体と調整し、2日後にラーメンを提供する段取りを整えたが、現地から「食料が十分足りそうだ」と連絡が入ったという。野崎氏は「当局も民間も支援のノウハウが蓄積されている」と話した。
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