被告、大声で「死ね」=煙と熱風、飛び降り脱出―京アニ・生存社員の証言
「オレンジ色の火が3人を包んだ」「被告が大声で『死ね』と言って火を付けた」―。京都アニメーション放火殺人事件の公判では、かろうじてスタジオから逃げ延びた同社社員が、放火直後の様子を生々しく証言した。
事件当時、入社2年目だった女性社員が第1スタジオ1階で資料を作成していたところ、自動ドアが開いて「ドンドンドン」という足音を聞いた。視線を上げると、赤いTシャツを着てジーパンをはいた青葉真司被告(45)が3メートルほど先に立っていた。
青葉被告はバケツに入った液体をまくと、無表情のまま大声で「死ね」と言って火を付けた。床から天井に上ったオレンジ色の火が隣にいた3人の従業員を包む。足音を聞いてからはわずか10~20秒ほど。上半身に液体を浴びていて「ここにいたら死んでしまう」と女子トイレに逃げ込み、他の女性社員2人とともに救出された。
1階にいた男性社員によると、青葉被告が火を付けた黒いノズルをスタッフの一人に突き付けると、「室内が真っ白になるぐらいまぶしく光った」。3~4メートル離れていたが、ガソリンの臭いと熱風が届いたという。
上層階の社員に避難を促そうと階段を上がって窓を開けたが、煙が多く2階の窓から飛び降りた。1階の窓からは猛烈な煙が出ており、ガラスが割れたり、何かが破裂したりする音が聞こえた。
製作マネジャーの女性社員は、被告のまいたガソリンを全身に浴び、手足が血まみれの状態で窓から飛び降りた。全身の94%にやけどを負い、49回に上る手術を受けた。「鏡を見たときは絶望した。この体で生きていくことがつらい」と話した。
別の女性社員は「両手は赤黒い肉の塊に変えられた。やけど痕がある限り一生、生き地獄だ」と吐露。一方で、後ろにいた社員は全員亡くなった。「手の感触が残っている。一人でも手を握って助けることができていれば」と後悔の念を打ち明けた。
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