物価高克服へ正念場=強気の連合、経営側に迷い―春闘
2024年春闘は、物価上昇を上回る賃上げが実現するかが焦点だ。連合の集計では23年春闘の平均賃上げ率は3.58%と30年ぶりの高い伸びを記録したものの、物価の上昇ペースには追い付いていない。生活防衛のために要求水準を引き上げた連合と、大幅な賃上げに二の足を踏む経営側とは、立場に開きがある。
「24年春闘こそ正念場だ」。連合の芳野友子会長は1日の中央委員会で、今年を上回る賃上げ率の獲得に向けた決意を示した。ガソリンなどの燃料や食料品の価格上昇が続き、家計は圧迫されたまま。支持率回復を狙う一環として「賃上げ促進税制」の拡充を打ち出した岸田政権の後押しも得て、強気の交渉を貫く構えだ。
これに対し、経済界は「今年以上の熱量と意志を持って取り組みたい」(十倉雅和経団連会長)と協調姿勢を示しつつも、簡単には応じられない事情を抱えている。総務省の家計調査によると、1世帯(2人以上)当たりの実質消費支出は、9月まで7カ月連続で前年を下回った。生活必需品を中心に、販売減を回避するため追加値上げには慎重にならざるを得ず、人件費をさらに増やすのはハードルが高い。
一方、連合が掲げた「5%以上」の賃上げ要求には、実現を疑問視する声も上がる。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、今年の春闘が本格化した頃に4%程度だった消費者物価上昇率が来年初めには2%台前半に鈍化すると予想。「(賃上げ交渉の)勢いがそがれる部分がある」との見方を示している。
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