「グローバルサウス」代弁=安保理改革含め日本と協力―邦人記者団と会見・ブラジル大統領
【ブラジリア時事】ブラジルのルラ大統領は4月30日に行われた邦人記者団との会見で、貧困や飢餓、気候変動、国際機関改革などに積極的に取り組む方針を示した。新興・途上国「グローバルサウス」の代表格として課題を代弁した格好で、日本との協力に強い意欲を見せた。
グローバルサウスとの連携を重視する岸田文雄首相は3日、ブラジリアでルラ氏と会談する。外遊出発に当たり「2国間関係、国際場裏での連携を確認したい」と表明した。
ルラ氏は会見で、世界では昨年1年間で軍事費として2兆ドル(約315兆円)以上が支出されたと指摘し、「食料や雇用創出に使われていたら世界はずっと良くなっていた」と嘆いた。「人類の生活水準を改善するやり方を検討し始めなければならない」と述べ、ブラジルが今年の議長国を務める20カ国・地域(G20)などで議論を進める方針を示した。
また、ウクライナなど各地での紛争激化を受け軍事費が膨らんでいる背景には、国連安全保障理事会の機能不全があると強調。その上で「今回の(ウクライナでの)戦争は、国連が無力であることを示した。安保理に他国の代表がもっといれば、こうした争いは回避できる」と訴えた。
安保理改革では、日本やドイツ、インドと共に「G4」の枠組みで常任理事国入りを目指す方針を改めて示したほか、他の中南米諸国や50カ国以上あるアフリカ諸国などの参加を通じた安保理の拡大にも支持を表明。「現在の国連に欠けている地政学を反映させる」狙いがあると語った。
日本に対しては、ルラ政権が看板政策として掲げるアマゾン熱帯雨林の保護で協力を求めたほか、ブラジルの再生可能エネルギー分野などへの投資を呼び掛けた。日本はブラジルと同様に平和主義を掲げているとし、「地理的にはとても遠いが、人道主義的な考えや感覚は非常に近い」と親近感をアピールした。
[時事通信社]
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