生成AI、技術史上の転換点=「知の制約」解き放つ―チャットGPT公開1年
【シリコンバレー時事】米オープンAIの対話型AI(人工知能)「チャットGPT」の一般公開から30日で1年。文章や画像を自動で作る生成AIは、利用者の意図をくみ回答する能力の高さで衝撃を与え、利用が急速に拡大しつつある。産業革命以降の技術革新の歴史においても最大級の転換点の一つと目されており、開発が加速するのは必至だ。
「(基本ソフト=OS)ウィンドウズが普及した1990年代が再び訪れたようだ」。マイクロソフト(MS)のナデラ最高経営責任者(CEO)は、生成AI時代の到来をこう表現する。
ウィンドウズ95の登場以降、パソコンが一般家庭に普及し、インターネットを身近にした。あらゆる情報が検索できるようになり、さまざまなITサービスを享受できるアプリの活用に道を開いた。スマートフォンの登場は、パソコンをポケットに収まるサイズに縮めた。
米調査会社IDCなどの予測では、2023年に世界で生み出されるデータ量は120ゼタ(10の21乗倍)バイト。10年比で約60倍に膨らんだ。
米半導体大手エヌビディアでディープラーニング(深層学習)応用研究の担当幹部を務めるブライアン・カタンザーロ氏は、技術革新は「人間の行動の幅を広げ、新たな限界にぶつかると、乗り越えようとしてきた」と指摘。「今、われわれの暮らしは知の制約を受けている」とした上で、生成AIはこれを解放するとの見解を示す。
ネットの普及で多くの人が膨大な情報に触れる機会を得たが、同氏によると「人間の注意力には限界がある」ため、十分に活用し切れていない。大企業は事業領域に特化した専用のAIで情報を活用してきたが、生成AIはノウハウを持たない利用者のニーズに応え、知りたいこと、やりたいことをサポートしてくれる。
例えばMSの資料作成ソフト「パワーポイント」はこれまで、その機能をフル活用できる人の割合は10%に満たなかった。ところがオープンAIと提携し、チャットGPTの技術を組み込むと、文章で指示するだけでファイル情報を要約したり、見栄えを良くしたりできるようになった。
開発企業は、多くの人がAIを使えるようになることを「AIの民主化」と歓迎する。一方で、AIが誤情報を回答したり、悪意ある人が偽情報を拡散したりする問題も目立つようになった。カタンザーロ氏は、今後は性能改善により、こうした問題への対処が進むと予測。一方で、一定のルールを設ける必要があるとも指摘する。
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