2020.12.23 20:01Nation

袴田事件、高裁に差し戻し 再審認めぬ決定取り消し―釈放は継続へ・最高裁

 静岡県清水市(現・静岡市)で1966年に一家4人が殺害された「」の第2次再審請求特別抗告審で、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(84)について、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は再審開始を認めなかった東京高裁決定を取り消し、審理を同高裁に差し戻す決定をした。小法廷は「犯行時の衣類に付着した血痕の色に関し審理が尽くされていない」と判断した。22日付。
 5人中3人の裁判官の多数意見で、2人は「再審を開始すべきだ」とする反対意見を付けた。決定は結論の方向性を示しておらず、再審が認められるか否かは差し戻し審での審理次第となる。
 袴田さんは、静岡地裁の再審開始決定を受け2014年3月に釈放された。決定を覆した東京高裁も執行や拘置の停止は取り消しておらず、釈放は維持される。
 袴田さんの姉ひで子さんは23日、静岡市で記者会見し、最高裁の判断について「本当にありがたい」と話した。
 小法廷は、事件から約1年2カ月後に現場近くのみそタンクの中から発見され、確定判決が犯行時の袴田さんの着衣と認定した「5点の衣類」に付着した血痕の色について検討。衣類発見時の実況見分調書には「濃赤色」などの記載がある一方、弁護側による再現実験では、みそ漬けにした衣類に付いた血痕は6カ月後に黒色に近くなったとし、血痕の色は専門的知見に基づき検討する必要性があると指摘した。
 その上で、弁護側が高裁段階で主張した醸造中のみそが褐色化する「メイラード反応」について検討。弁護側が提出した意見書は、血痕が黒っぽく変化したのも主に同反応の影響だとしたが、高裁はこの点について審理を尽くしておらず、「袴田さんの犯人性に合理的な疑いを差し挟む可能性が生じ得るのに、影響を過小評価した誤りがある」と結論付けた。
 一方、地裁が再審開始決定の最大の根拠とした衣類に付着した血痕のDNA型鑑定結果は「DNAが残存しているとしても極めて微量で劣化している可能性が高い」として証拠価値を否定した。(2020/12/23-20:01)

2020.12.23 20:01Nation

1966 Murder Case in Central Japan Sent Back to High Court


Japan's Supreme Court on Wednesday overturned a decision by Tokyo High Court not to reopen a 1966 murder case in Shizuoka Prefecture, central Japan, sending it back to the high court.
   The top court's Third Petty Bench said there had been insufficient court deliberations on the color of blood stains on the clothing believed to be worn by the murderer at the crime scene.
   The decision, dated Tuesday, was made by a vote of three to two. The two justices who opposed the decision said that a retrial should be started for Iwao Hakamada, who was released from prison in March 2014 more than three decades after his death sentence over the case became final.
   Whether or not to reopen the case depends on deliberations at the high court, as the top court decision does not guide the conclusion.
   About 48 years after his arrest, Hakamada, a former professional boxer, was freed following a decision by Shizuoka District Court to reopen the case.

最新ニュース

写真特集

最新動画