被災地つなぐ落花生焼酎　広がる支援、信金懸け橋―千葉、熊本

　昨年の台風で甚大な被害を受けた千葉県の落花生が、７月に豪雨災害に見舞われた熊本県で球磨焼酎に生まれ変わった。二つの被災地をつなぐ焼酎は、地域復興を願い「絆華（きのはな）」と名付けられた。関係者は「これをきっかけに被災地支援の輪が広がってほしい」と話している。
　千葉県は昨年９～１０月、台風１５号と１９号が立て続けに襲来し、住宅６万棟以上が被災した。全国の信用金庫が連携してビジネスの機会を提供する「よい仕事おこしネットワーク」は、復興支援のため、生産量日本一を誇る同県の落花生を原料に、熊本県で焼酎を作るプロジェクトを立ち上げた。
　台風で倉庫の屋根が飛ばされるなどした加工販売業者「かずさ屋」（千葉県木更津市）がこれに賛同し、落花生約２００キロを提供した。原料に使いやすいように、機械ではなく、煎った豆のまま渋皮を手作業で処理。鈴木久登志社長（６５）は「限られた納期の中で、大変な作業だった」と振り返る。
　加工された落花生は３月上旬、老舗酒蔵「深野酒造」（熊本県人吉市）に届けられ、すぐに製造が始まった。深野誠一社長（４８）は、２０１６年の熊本地震で福島県から支援を受けたことに触れ、「バトンをつなぐように、次は千葉を応援しようと思った」と話す。
　ただ、７月になると熊本県南部を豪雨が襲った。球磨川が氾濫し、人吉市でも２０人が死亡するなどの甚大な被害が出た。球磨焼酎酒造組合によると、市内にある八つの酒蔵も約半数が全半壊したが、深野酒造は奇跡的に難を逃れた。深野さんは「災害支援で作った焼酎が、災害でだめにならず、うれしい」と胸をなで下ろした。
　開封すると、ふわりと落花生の香りが漂う絆華。１０００本生産し、関係者への配布などを予定している。プロジェクトの事務局を務める城南信用金庫の川本恭治理事長（５８）は「焼酎をきっかけにまだ復興途中の千葉や熊本に支援の輪が広がってほしい」と話している。（2020/09/21-07:12）

Peanuts grown in a Japanese prefecture hit hard by powerful typhoons last year are used to make "shochu" distilled spirits in another prefecture affected by torrential rains in July this year.
   The shochu product, connecting typhoon-hit Chiba Prefecture, east of Tokyo, with deluge-affected Kumamoto Prefecture, southwestern Japan, has been named "kinohana," made up of two kanji characters, one meaning bonds and the other flowers.
   In September and October last year, Typhoon Faxai and Typhoon Hagibis, the 15th and 19th typhoons of that year, respectively, damaged over 60,000 houses in Chiba.
   Yoishigotookoshi Network, which offers business opportunities under cooperation among shinkin banks across Japan, launched a project to make shochu in Kumamoto from peanuts grown in Chiba, the country's largest production site for the crop, as part of reconstruction efforts.
   Kazusaya, a processor and seller of peanuts based in Kisarazu, Chiba, has provided some 200 kilograms of peanuts for the project, after suffering damage at its property from typhoon winds.