2020.08.08 07:25Nation

核廃絶「全ての人の問題」 被爆者運動、懸けた半世紀―日本被団協の田中代表委員

 「核兵器廃絶は、もはや被爆者の問題ではない。今生きている全ての人の問題だ」。被爆者唯一の全国組織・(日本被団協)代表委員の田中熙巳さん(88)=埼玉県新座市=は半世紀にわたり被爆者運動に人生を懸けてきた。原爆投下から75年目の夏を迎え、多くの仲間は鬼籍に入ったが、運動への情熱を絶やさず燃やしている。
 節目の年、新型コロナウイルスの感染拡大で、高齢化した日本被団協の活動も制約された。国連で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議に被爆者約30人の派遣を予定していたが断念。会議自体も延期となった。だが、田中さんは「75年もやってきた。半年や1年なんて大したことはない」と、今夏も取材対応や慰霊式への出席を精力的にこなす。
 13歳の時、爆心地から約3.2キロの長崎市中川の自宅で被爆。伯母や祖父ら親族5人を失った。運動には1970年ごろから携わり、日本被団協の事務局長として約20年間、政府や国連との交渉役を担ってきた。2017年に代表委員に就任した。
 コロナ禍の現状を「人類規模で自分たちの存在を考えるチャンスかもしれない」と言う。日本被団協はオンラインでの被爆証言を始めており、「若い人と一対一でつながりやすくなった。集会より気持ちが伝わる」と新たな手応えも得た。
 日本被団協は1956年の結成以来、核兵器の非人道性を体験に基づき伝え、核廃絶を目指してきた。地道な取り組みもあり、17年には核兵器禁止条約が採択されたが、発効には至っておらず、日本政府も批准していない。
 田中さんは「われわれは政治家でも外交官でもない。放射線の影響でどれだけ多くの人が苦しんできたか。人間の一生を支配する核兵器は二度と使ってはいけない、と言い続けるのが被爆者の役割」と力を込める。
 一方、被爆者に残された時間は多くはないとも実感している。だからこそ、「核廃絶は被爆者の運動ではない。人類が存続するため、全ての人の運動だ」と声を上げ続ける考えだ。(2020/08/08-07:25)

2020.08.08 07:25Nation

Hibakusha Group Leader Calls Nuclear Abolition Universal Issue


Eliminating nuclear weapons is a challenge all humankind is facing, leader of the Japan Confederation of A- and H-Bomb Sufferers Organizations, or Nihon Hidankyo, has said, recalling his activities over the last half-century.
   "The abolition of nuclear weapons is no longer a problem only for hibakusha atomic bomb survivors, but is for all people living on the globe," Terumi Tanaka, 88, co-chairman of Nihon Hidankyo, said.
   With this year marking the 75th anniversary of the U.S. atomic bombings of Hiroshima and Nagasaki, Tanaka is renewing his determination to devote himself to efforts for eliminating nuclear weapons while many colleague hibakusha have passed away.
   In the milestone anniversary, activities by aging Nihon Hidankyo members have been hampered by the novel coronavirus pandemic. The group gave up its plan to send some 30 hibakusha to the Nuclear Nonproliferation Treaty (NPT) Review Conference at the United Nations, which has been postponed.
   Still, Tanaka is actively working for his mission, accepting media interviews and attending memorial ceremonies. "I have been working on nuclear abolition for 75 years," he said, adding that a hiatus of six months or a year is "nothing."

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