「被爆者の苦しみ、二度と」 命の限り核廃絶訴え―原爆孤児の山田さん・広島
広島県原爆被害者団体協議会副理事長の山田寿美子さん(77)=広島市東区=は、2歳の時に被爆し、両親を亡くした「原爆孤児」だ。病院のソーシャルワーカーとして長年被爆者をはじめとする患者を支援してきた。原爆投下から75年。「被爆者は常に苦しみを抱えて生きてきた。二度と被爆者を出さないという思いを世界の共通認識にしたい」と核廃絶を強く訴える。
山田さんは爆心地から2.3キロの母の実家で18歳年上の姉と共に被爆したが、記憶はない。姉によると、飛び散った窓ガラスの破片が体に刺さり、放射性物質を含む「黒い雨」を浴びた。爆心地近くにいた父の遺骨は見つからず、全身がやけどした母も亡くなった。
姉が結核で入院したため、親戚宅を転々とした。学校に行くと「親がいない」と差別され、帰っても居場所はなかった。転機が訪れたのは小学4年の時。原爆孤児に手紙とお金を送る「精神養子運動」をけん引した作家の山口勇子さんと出会い、東京の女性が「精神親」になってくれた。「誰かに励ましてもらうことはなかったから、すごく支えになった」と振り返る。
中学3年の冬、結婚した姉が岡山県の自宅に呼び寄せてくれた。義兄の仕送りと奨学金で愛知県の大学に進み、同和地区への支援活動など貧困と差別の問題に取り組んだ。「広島には二度と帰るまい」と思っていたが、自分が学んだことを実践しようと決意。広島市内の病院に就職し、ソーシャルワーカーとして数多くの患者の相談に乗った。
ある被爆者の男性は日雇いの仕事にしか就けず、自暴自棄になっていた。支援を通じて前向きになり、病院が受け入れていた修学旅行生への証言を頼むと、「被爆の恐ろしさを知ってくれるならありがたい」と引き受けてくれた。しかし、酒への依存を断ち切れず、体を壊して亡くなった。
原爆の恐怖を思い出すため、ガスコンロの火を付けられない女性もいた。夫が炊事をしていたが、認知症になってできなくなり、2人とも施設に入ったという。
「被爆者の苦しみは生涯続く。それが原爆の恐ろしさ。もう誰にも、そういう思いをしてほしくない」。山田さんは命の限り訴え続ける考えだ。(2020/08/06-18:48)
Woman Orphaned by A-Bomb Calling for Peace from Hiroshima
Sumiko Yamada, 77, was one of many children orphaned by the atomic bombing of the western Japan city of Hiroshima 75 years ago.
She was 2 when the bomb hit the city and killed numerous people, including her parents. As a social worker at a hospital, Yamada extended support to hibakusha atomic bomb survivors and others for many years.
"Hibakusha are suffering from pain throughout their lives. I want to help create a common recognition among people across the world that there should be no more hibakusha," says Yamada, currently deputy head of the Hiroshima Prefecture federation of atomic bomb survivors.
Yamada was exposed to radiation from the bomb, which was dropped on Hiroshima on Aug. 6, 1945, in the closing days of World War II. At the time, she and her sister 18 years older than her were at their grandparents' house 2.3 kilometers from the epicenter of the blast although she does not remember the experience.
Her sister told her that flying glass shards from broken windows pierced her body. She was also exposed to radioactive black rain in the aftermath of the bombing. She could not find the remains of her father, who was near ground zero. Her mother died from burns over her whole body.
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