2020.07.29 13:19World eye
自由と引き換えの安定 シンガポール模倣が香港の道?
【シンガポールAFP=時事】シンガポールは民主主義が制限されている代わりに、生活水準は高く、安定しており、ほとんどのシンガポール人がこの状態を受け入れている。アジアの金融ハブとしてライバル関係にあることで知られる香港は、中国が統制を強める中、シンガポールモデルを模倣すればいいのではないかとの声が上がっている。(写真は資料写真)
香港国家安全維持法(国安法)の施行により、香港市民の自由は制限され、長年比較されてきたシンガポールとの対比が浮き彫りになっている。
この法律を支持する人々は、香港ではしばしば暴力的なものに発展する民主化デモが何か月も続いたことから、安定性を取り戻し、企業の信頼感を保つ必要があると主張している。
一方、反対派は香港が、法律や規制の透明性が低い中国の多くの大都市のクローンになってしまえば、企業の信頼感は徐々に失われると指摘する。
香港の弁護士、アントニー・ダピラン氏は、中国による支配は投資家の信頼を維持するために必要な香港の自治権を奪っていると指摘する。
香港の民主派デモに関する著作があるダピラン氏は「シンガポールは、中国共産党の介入の対象となっていない」「シンガポールは主権国家であり、中国政府の利益とは性質も規模も大きく異なる国家利益のために行動している」とAFPに語った。
昨年、香港を揺るがした民主派デモを受け施行された国安法は、国家転覆、暴動、テロ、外国との共謀を取り締まりの対象としている。
シンガポールでも、暴動や侮辱罪などを取り締まる同じように厳格な法律が存在するが、それでも繁栄していると擁護する人もいる。例えばシンガポールでは、中心部の公園の一角を除き、当局の許可なしにデモを行うことは違法となっている。
このような厳格な法律は人権団体から批判されているが、国内ではおおむね容認されており、世界からも詮索はされていない。
■市場の「正しい側」
オーストラリアのフリンダース大学のシンガポール専門家、マイケル・バー氏は、「シンガポールは常に世界の市場、特にアメリカにとって正しい側に位置するよう心掛けてきた」と説明した。
香港では、多くの人が国安法に怒りと失望を表した。欧米諸国も、中国政府は香港が大切にしてきた自由を剥奪したと批判を強めている。多くの国は、法制度への懸念を理由に香港との犯罪人引き渡し条約を停止した。
バー氏は「中国政府は、香港を市場から締め出すよう米国を仕向けている」と述べた。
アナリストらは、外国企業は今後、法の支配という点では香港よりもシンガポールの方が安全だと思うようになるだろうと指摘する。香港国安法が、香港と中国本土の間に存在していた法律上の防御壁を崩壊させたためだ。
豪シンクタンク、ローウィー研究所の政治アナリスト、ベン・ブランド氏は、「誰が中国の国有企業や有力な民間企業を相手に訴訟を起こすというのか」と述べた。一方、シンガポールは、国際仲裁ハブの一つとして、その地位を確立している。
多数の企業が香港から撤退し、シンガポールが利益を得るのではないかとの臆測が広がっているが、企業の香港撤退の兆候はまだほとんどみられない。これについてブランド氏は、「多数の企業が洪水のように撤退するのではなく、水がしたたるように少しずつ撤退する」としている。「だが、中国が介入を強めれば、この動きは加速する可能性がある」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2020/07/29-13:19)
香港国家安全維持法(国安法)の施行により、香港市民の自由は制限され、長年比較されてきたシンガポールとの対比が浮き彫りになっている。
この法律を支持する人々は、香港ではしばしば暴力的なものに発展する民主化デモが何か月も続いたことから、安定性を取り戻し、企業の信頼感を保つ必要があると主張している。
一方、反対派は香港が、法律や規制の透明性が低い中国の多くの大都市のクローンになってしまえば、企業の信頼感は徐々に失われると指摘する。
香港の弁護士、アントニー・ダピラン氏は、中国による支配は投資家の信頼を維持するために必要な香港の自治権を奪っていると指摘する。
香港の民主派デモに関する著作があるダピラン氏は「シンガポールは、中国共産党の介入の対象となっていない」「シンガポールは主権国家であり、中国政府の利益とは性質も規模も大きく異なる国家利益のために行動している」とAFPに語った。
昨年、香港を揺るがした民主派デモを受け施行された国安法は、国家転覆、暴動、テロ、外国との共謀を取り締まりの対象としている。
シンガポールでも、暴動や侮辱罪などを取り締まる同じように厳格な法律が存在するが、それでも繁栄していると擁護する人もいる。例えばシンガポールでは、中心部の公園の一角を除き、当局の許可なしにデモを行うことは違法となっている。
このような厳格な法律は人権団体から批判されているが、国内ではおおむね容認されており、世界からも詮索はされていない。
■市場の「正しい側」
オーストラリアのフリンダース大学のシンガポール専門家、マイケル・バー氏は、「シンガポールは常に世界の市場、特にアメリカにとって正しい側に位置するよう心掛けてきた」と説明した。
香港では、多くの人が国安法に怒りと失望を表した。欧米諸国も、中国政府は香港が大切にしてきた自由を剥奪したと批判を強めている。多くの国は、法制度への懸念を理由に香港との犯罪人引き渡し条約を停止した。
バー氏は「中国政府は、香港を市場から締め出すよう米国を仕向けている」と述べた。
アナリストらは、外国企業は今後、法の支配という点では香港よりもシンガポールの方が安全だと思うようになるだろうと指摘する。香港国安法が、香港と中国本土の間に存在していた法律上の防御壁を崩壊させたためだ。
豪シンクタンク、ローウィー研究所の政治アナリスト、ベン・ブランド氏は、「誰が中国の国有企業や有力な民間企業を相手に訴訟を起こすというのか」と述べた。一方、シンガポールは、国際仲裁ハブの一つとして、その地位を確立している。
多数の企業が香港から撤退し、シンガポールが利益を得るのではないかとの臆測が広がっているが、企業の香港撤退の兆候はまだほとんどみられない。これについてブランド氏は、「多数の企業が洪水のように撤退するのではなく、水がしたたるように少しずつ撤退する」としている。「だが、中国が介入を強めれば、この動きは加速する可能性がある」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2020/07/29-13:19)
2020.07.29 13:19World eye
Will Hong Kong become like tightly-ruled but stable Singapore?
Limited democracy but high living standards and stability form a trade-off that most Singaporeans seem willing to live with -- and some now suggest rival Asian finance hub Hong Kong can emulate the model as China tightens control.
The two trading centres have long been compared but recent events have brought the issue into sharper contrast as Hong Kong faces a new era of curtailed civil liberties following China's imposition of a wide-ranging national security law.
Supporters argue that after months of often violent pro-democracy protests the law should bring the stability needed to retain business confidence in the commerce hub.
But opponents insist it will undermine sentiment if Hong Kong morphs into a clone of many mainland cities where there is less legal and regulatory transparency.
Hong Kong lawyer Antony Dapiran said Chinese control was robbing the territory of the autonomy it needed to keep investor confidence intact.
Singapore is different not least because it is not subject to CCP (Chinese Communist Party) intervention, said Dapiran, who has written books on Hong Kong's recent protest movement.
Singapore is a sovereign state and so it behaves consistent with its sovereign interests which are very different -- in both nature and scale -- to China's sovereign interests, he told AFP.
- 'Right side of markets' -
The new security law -- imposed in the wake of anti-China protests that convulsed Hong Kong for months last year -- targets subversion, sedition, terrorism and foreign collusion.
Advocates argue Singapore has prospered with equally tough legislation covering offences ranging from sedition to contempt. It is illegal to hold a demonstration without police permission in the city-state, except in the corner of one downtown park.
While these stringent laws have been criticised by rights groups, they have been largely tolerated domestically and escaped global scrutiny.
Singapore has always made a point of cultivating and staying on the right side of the global markets and the Americans in particular, Michael Barr, an expert on the country at Australia's Flinders University, told AFP.
In Hong Kong however, many people have reacted to China's security law with anger and dismay.
And there has been widespread criticism from Western nations that say Beijing is stripping away the territory's cherished freedoms. A number of countries have suspended their extradition treaties with Hong Kong, citing concerns about the legislation.
Beijing has pushed the Americans to cut Hong Kong off from markets, Barr said.
- 'Trickle of departures' -
On the rule of law, analysts say foreign firms will now feel safer operating in Singapore than Hong Kong.
The new legislation has toppled the legal firewall that existed between Hong Kong and mainland China's Communist Party-controlled courts and opaque legal system.
Which foreign companies will dare to bring legal cases against Chinese state-owned companies or influential private entities? said Ben Bland, a political analyst from the Lowy Institute, an Australian think tank.
Singapore has also established itself as one of the world's leading centres for international arbitration -- a process whereby parties settle disputes privately outside the court system.
That said, there has been little sign as yet of a corporate exodus from Hong Kong amid renewed speculation that Singapore may benefit if businesses decide to exit the Chinese city.
Hong Kong will likely see a trickle rather than a flood of departures, Bland said.
But this could accelerate if Beijing steps up its interventions.
burs-sr/axn
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