北陸の感染者、なぜ多い？　大家族、共働き要因か―新型コロナ

　富山、石川、福井の北陸３県では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が解除されたものの、人口比での感染者数は依然、高水準で推移している。人口１０万人当たりの累計感染者数は、特定警戒都道府県に指定された石川が全国２位で、富山３位、福井６位といずれも上位を占める。なぜ北陸で感染者が多いのか。背景を探った。
　１４日現在の３県の累計感染者は６３０人で、より人口の多い東北６県や中国５県を大きく上回る。３県の感染拡大の発端は、接客などを伴う飲食店や病院、介護施設などでそれぞれ発生したクラスター（感染者集団）だったとみられている。石川県では特に、二ツ屋病院（かほく市）で７２人（同日現在）の感染者が出るなど、六つのクラスターが発生した。
　福井大の岩崎博道教授は、そこから感染が家庭内へ連鎖したことには、共働き率の高さも関係しているとみる。総務省の２０１７年の就業構造基本調査によると、福井は全世帯中６０％とトップで、富山が３位、石川は４位だった。在宅勤務でなければ、夫婦の一方が職場から家庭にウイルスを持ち込むリスクは倍増する。
　北陸３県特有の「大家族」が影響したとの見方もある。１５年の国勢調査によると、１世帯当たりの人数は福井が全国２位、富山が３位で、石川も２１位と上位に入る。福井県の幹部は「北陸は家族の構成単位が大きく、家庭内での感染が広がりやすいのでは」と話す。
　一方、石川県の感染症対策本部でアドバイザーを務める金沢大の市村宏教授は、ＰＣＲ検査が滞りなく行われていることを理由として挙げ、「検査数が多ければ感染者数も増える。富山、福井では特に検査が頻繁に行われている」と指摘している。
　政府は１４日、３県への緊急事態宣言を解除。クラスター以外の感染拡大が抑えられていると評価したとみられる。富山県衛生研究所の大石和徳所長は、今後の３県の連携した対策が重要と指摘し、「大事なのは、（隣り合う県知事同士が）同じメッセージで粛々とやっていくこと。休業要請の解除も足並みがそろえばいい」と訴えた。（2020/05/15-20:33）

The number of coronavirus cases is relatively high in three prefectures in Japan's Hokuriku central region in proportion to their population, due to unique regional factors, such as a high proportion of double-income households, experts said.
   Ishikawa Prefecture had the country's second-highest number of cases per 100,000 people, followed by Toyama Prefecture. Fukui Prefecture was ranked sixth.
   The three had 630 cases together as of Thursday, far higher than those in the six Tohoku northeastern prefectures and the five Chugoku western prefectures, which have bigger populations than the Hokuriku prefectures.
   Hokuriku saw many clusters of infections occur, including at restaurants, hospitals and nursing care homes. Ishikawa had six clusters, including one involving 72 cases at Futatsuya Hospital.
   Hiromichi Iwasaki, professor at the University of Fukui, said that a high rate of double-income families is behind the spread of the virus in Hokuriku.