刑事裁判延期「人権に関わる」 一部続行、コロナ緊急事態でも―裁判所
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、対象地域の裁判所は多くの裁判を延期した。「密集」「密閉」「密接」の3密を避けて感染を防止するためだが、法曹関係者は「人権との兼ね合いで、延期できないものもある」と話す。
「公判期日は取り消しになりました」という張り紙が目立つ東京地、高裁庁舎(東京都千代田区)。緊急事態宣言から一夜明けた8日、覚せい剤事件で勾留されている被告の公判が行われた。
傍聴席が20席だけで、地裁の中では「小部屋」の418号法廷を傍聴したのは、記者を含めて5人。窓のない法廷に裁判官や被告、検察官ら関係者7人がマスク姿で現れ、審理が始まった。
宣言期間中の裁判員裁判や、被告が保釈されるなどした事件の審理は原則延期された。だが、被告が勾留され、執行猶予や無罪判決を求めている事件は裁判官、検察官、弁護人で開廷するか否かを決めている。裁判の結果次第で拘束を解かれる可能性があるためで、ベテラン裁判官は「人権保障機能は止められない」と話す。
ある裁判所職員は「安全を考えると、本当は傍聴をなしにしたい」と漏らすが、憲法は「裁判は公開法廷で行う」と定めており、傍聴の完全制限は難しい。国民の目を通し、公平・中立な司法を図るためとされ、原則、誰でも傍聴が認められている。
感染が広まる中、最高裁は3月上旬、傍聴席の間隔を空ける運用を開始。東京地裁は傍聴席数を4割程度に制限したが、窓のない法廷の密閉感は残る。傍聴人や弁護人らに感染が確認されたら―。別の裁判所職員は「どう安全を確保していけばいいのか」と苦慮していた。(2020/04/14-07:13)
Japan Courts Struggling to Hold Trials amid Virus Scare
Courts in Japan are struggling to continue holding criminal trials amid the new coronavirus outbreak, as courtrooms fall into the category of enclosed spaces with poor ventilation and involving close contact, a condition believed to have a high risk of causing a cluster of infections.
After the Japanese government declared on April 7 a state of emergency over the pandemic for Tokyo and six other prefectures, courts in the areas postponed many trials.
Still, a judicial official said, "There are trials that cannot be postponed for human rights reasons."
On April 8, the trial of a person accused in a drug case was held at Tokyo District Court. While 20 gallery seats were available in the windowless courtroom, only five people, including reporters, watched the trial.
Hearings for trials scheduled during the state of emergency period until May 6, including cases with defendants being released on bail, have been postponed in principle.
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