農家支援策、検討本格化=市場開放影響「無視できず」-再協議規定も・日米貿易協定
【ニューヨーク時事】日米両政府が最終合意した日米貿易協定では、多くの農産品市場を環太平洋連携協定(TPP)と同水準まで開放することが決まった。米国の強い要請を受け、牛肉関税(現行38.5%)は先行するTPP加盟国に追い付くように、9%まで削減され、ワインや一部チーズの関税も撤廃される。米国向け優遇を急激に進めるだけに、政府は農家への影響を「将来的に無視できない」(江藤拓農林水産相)と判断。国内対策の検討を本格化させる。
また、協定には日本の農産品に関して米国との「将来の再協議規定」が盛り込まれており、米国側が今後、開放圧力をかける恐れも残った。
政府は日米協定について、国内経済や農業への影響を詳細に分析する。TPPの国内対策を定めた大綱を見直し、農産品の輸出力強化策などを打ち出す方針だ。今回の交渉では、米国から同国向け牛肉の低関税枠拡大や、メロン、柿といった農産品42品目の関税撤廃・削減を引き出しており、こうした分野を中心に国内農家の経営を支援する。
トランプ米大統領は就任直後の2017年1月にTPPからの離脱を表明。昨年12月末に米国抜きのTPPが発効し、米国産農産品の対日輸出条件は悪化している。貿易協定では、小麦や豚肉、ワインなどについて、協定発効から2年目を迎えているTPP加盟国と同じ税率を適用し、米国の不満を解消する。
日本が重視するコメでは、TPP交渉時に認めていた最大7万トンの無関税輸入枠の設定が見送られた。一方、製造業の復活を目指す米国は、将来の撤廃を掲げつつ、自動車・同部品の関税を維持。両国が互いの「聖域」に配慮した形となった。
ただ、小麦は最大15万トンの無関税輸入枠を設定。豚肉は低価格品の関税が現行の1キログラム当たり482円から段階的に同50円まで削減される。TPPと同じ内容とはいえ、国内農業への影響は避けられそうにない。米国側から再協議規定を理由に、農業分野での一段の譲歩を求められる可能性もありそうだ。(2019/09/27-18:03)
Japan to Mull Aid for Farmers after Trade Deal with U.S.
The Japanese government is now seen starting in earnest work to draw up measures to alleviate the possible impact on domestic farmers of a just-agreed trade deal with the United States.
The agriculture industry is relieved that no tariff-free quota will be set for U.S. rice shipments to Japan, Toru Nakaya, chairman of the Central Union of Agricultural Cooperatives, or JA-Zenchu, said in a statement on Thursday.
Japan had agreed to introduce such a quota for up to 70,000 tons of U.S. rice during Trans-Pacific Partnership trade talks, from which the United States withdrew just after the inauguration of President Donald Trump in January 2017.
Meanwhile, there are persistent concerns about lower Japanese tariffs on U.S. beef, pork and other farm goods. "Farmers are more worried than ever about their future," Toshiaki Tobita, head of JA Hokkaido Chuokai, a group under the nationwide union, said.
Under the bilateral trade deal, Japan will liberalize its markets for many agricultural products to levels under the TPP.
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