2020.04.09 07:12Nation

患者対応「追い付かない」 相談殺到、調査や搬送も―疲弊する職員ら・各地の保健所

新型コロナウイルスの電話相談対応に追われる保健所職員ら(東京都港区提供)

新型コロナウイルスの電話相談対応に追われる保健所職員ら(東京都港区提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、各地の保健所が電話相談や感染経路の調査、濃厚接触者の健康管理などに忙殺されている。疲弊する職員からは「患者発生に対応が追い付いていない」と悲鳴が上がる。入院ベッドの確保やクラスター(感染者集団)の解明を担う保健所の業務量が限界を超えれば、医療崩壊やさらなる感染拡大を招く恐れがある。
 「感染疑いの人が急増しており、相談窓口に電話があっても病院ですぐ診てもらえないケースが出ている」。東京都大田区保健所の担当者は、医療体制の逼迫(ひっぱく)に危機感を表す。
 同保健所では1日約200件の電話相談に15人ほどで対応する。終電で帰宅しても、深夜に携帯が鳴れば対応せざるを得ず、職員の疲労は限界に達しつつある。管内に羽田空港を抱え、帰国者も含めた健康観察対象者は100人を超える。担当者は「このままの態勢がいつまで続くのか」と不安を口にした。
 札幌市保健所では4月に入り、1日の相談件数が700件を超える。有症者向け窓口と一般窓口に加え、救急車を呼ぶか迷った際の電話窓口「#7119」も使って対応している。
 感染者の病院搬送や接触者調査など、業務は多岐にわたる。同保健所の山口亮感染症担当部長は「防護服を着て公用車を2時間運転したが、とてもきつかった。ライブバーで発生したクラスターでは常連客が互いに本名を知らないケースが多く、濃厚接触者特定が難航した」と振り返る。
 北海道の感染者は減少傾向にあるが、山口部長は「3月下旬以降、感染経路が分からない患者が増えてきている」と危ぶむ。人工呼吸器などの確保を進めており、「急増してからでは遅い。今のうちに備えておきたい」と話した。
 東京都港区の保健所は取材に、「担当者が多忙を極めている」との理由で文書で回答。「職員が休めず、毎日深夜まで残業している」と厳しい現状を説明し、「医療崩壊の危険性に誰よりも危機感を持っている。命より大切なものはない」と訴え、感染予防策の徹底を改めて呼び掛けた。(2020/04/09-07:12)

2020.04.09 07:12Nation

Japan Health Centers Overwhelmed by COVID-19 Work


Public health centers around Japan are being overwhelmed by coronavirus-related duties as the COVID-19 epidemic sweeps the nation.
   Center staff say they cannot keep up with the pace of infections, as they deal with telephone consultations from potential patients, ask those infected about possible infection routes and check the health condition of those in close contact with infected patients.
   The centers are also responsible for securing hospital beds and investigating infection clusters.
   Having more work than can be handled may trigger a collapse of the health system and a further spread of the coronavirus.
   "Suspected infections are soaring, and we're beginning to see cases in which people cannot get diagnoses quickly at hospitals even if they call our hotline," an official at a public health center in Tokyo's Ota Ward said.

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