頂点へ、こだわった「姿勢」 北口、1投で勝負あり―陸上女子やり投げ〔五輪〕
金メダルが確定して迎えた最終6投目。女子やり投げの北口は涙をこらえながら「自分のことに集中しなきゃ」と臨んだ。落下したやりを見届け、約7万人の大観衆の喝采を浴びた。「うれしいだけじゃ足りないぐらい」。鐘を打ち鳴らす優勝者の儀式ではしゃぎ、日の丸を掲げて何度も跳びはねた。
1投目で勝負を決めた。「いつもの6投目ぐらい集中した」。試技ごとに修正を重ね、最後に逆転するパターンが多い世界女王だが、いきなり今季自己最高の65メートル80をマーク。この好記録が重圧になったのか、他の選手は最後まで伸び悩んだ。
昨年の世界選手権に続くビッグタイトル獲得を目指し、「姿勢」にこだわってきた。北口が東京都内の治療院を初めて訪れたのは日大在学時。現在はトレーナーとして海外遠征に同行する上野真由美さん(47)によると、179センチの大柄な体を小さく見せるような猫背が染み付いていた。「今みたいに笑うこともなく、すごくしょんぼりした感じ」。自信なさげだった当時の印象を振り返る。
世界的に活躍するアスリートをサポートしている上野さんらは「コンプレックスを持っていても、世界では戦っていけないよ」と助言。すると、次の週には要望をはっきり伝えてくるようになった。
けが防止のため、猫背の改善に着手。試技の合間はうつぶせを保った。骨盤を前傾させる目的で、海外転戦時でも座面が前に18度傾いた椅子や、自動車などの座席の背もたれに置く特製マットを持ち歩いた。あるべき姿勢の維持を徹底したことで、持ち前の柔軟性も生かせるようになった。
パリの選手村に入ってからは、自身が持つ日本記録を超える70メートルの大台に乗せる夢を毎日見ていた。「65メートルではまだ満足できない。また頑張る理由ができてほっとした。現実で70メートルを投げたい」。日本陸上界の歴史を塗り替えた直後に、飽くなき向上心をのぞかせた。 (時事)(2024/08/11-09:50)
Haruka Kitaguchi Focuses on 1st Throw to Clinch Javelin Gold
Haruka Kitaguchi was unusually focused on her first throw in the women's javelin event at the Paris Olympics on Saturday, leading to her gold medal, Japan's first-ever Olympic gold in women's track and field.
"I was as concentrated as I usually am in a sixth throw," Kitaguchi said. On her first throw, she marked her best result this season of 65.80 meters, putting pressure on her rivals.
After her sixth and final throw, Kitaguchi received a rousing ovation from the crowd of about 70,000. At the bell-ringing ceremony for the winner, she erupted in joy, raising a Japanese flag and jumping many times.
"This medal feels very heavy," Kitaguchi said. "I hadn't had good feelings this season, and even after arriving in Paris, I was worried about whether I could compete in that condition. But I'm free of that now."
Since winning last year's world championship, Kitaguchi has focused on improving her body posture. She first visited a related clinic in Tokyo when she was a student at Nihon University.
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