「順風」日韓、影差す歴史問題 佐渡金山、徴用工が懸念材料―尹大統領就任2年
韓国の尹錫悦大統領の就任から2年。1965年の国交正常化後最悪と言われた日韓関係は、日本重視の尹大統領の下で大きく改善した。しかし、歴史問題の火種は消えていない。今夏には韓国国内で反発が強い「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)の世界文化遺産への登録手続きが大詰めを迎える見通しで、関係変調の恐れは否定できない。
林芳正官房長官は9日の記者会見で、日韓関係について「岸田文雄首相と尹大統領のリーダーシップの下、対話と協力がさまざまな分野で質、量ともに力強く拡大している」と語った。
2年前、日韓関係の最大の足かせだったのは元徴用工問題だ。これに対し、尹政権は2023年3月、日本企業の賠償金を韓国の財団が肩代わりする解決策を発表。以後、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の正常化、通貨スワップ(交換)協定の再締結など、関係改善が劇的に進んだ。
両首脳が相互に往来する「シャトル外交」も再開され、首脳会談は昨年だけで7回に上った。首相は日中韓3カ国首脳会談のため、今月下旬にソウルを訪問し、尹大統領と会談したい考えだ。
もっとも、懸念材料がないわけではない。韓国では2月、元徴用工訴訟で敗訴した日立造船の供託金が原告側に渡り、日韓請求権協定に違反する事態となった。日本政府は特殊なケースとして事を荒立てない構えだが、自民党保守派からは「大使召還も辞さない」と反発が上がる。
佐渡金山を巡っては、世界遺産登録の可否を判断する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会が7月下旬にインドで開かれる。日本は今夏の登録に全力を挙げる方針だが、韓国は「朝鮮半島出身者の強制労働の現場だ」として申請の撤回などを求めてきた経緯がある。
韓国の尹徳敏駐日大使は4月、新潟県で花角英世知事と面会し、佐渡金山について「痛ましい歴史がある」と改めてクギを刺した。岸田政権は展示の在り方などを工夫し、尹政権と妥協点を探りたい考えだが、折り合えなければ日韓関係が悪化に転じる可能性もある。政府高官は「尹大統領と一緒に乗り越えていくしかない」と語った。(2024/05/10-07:06)
FOCUS: Japan-S. Korea Ties Remain on Rocky Ground over History
History issues continue to cast a shadow over relations between Tokyo and Seoul even as ties have improved greatly since South Korean President Yoon Suk-yeol took power two years ago.
Yoon's focus on mending ties with Japan has seen relations recover from what officials and experts said was the worst since the two countries normalized diplomatic relations in 1965.
"Under the leadership of (Japanese) Prime Minister Fumio Kishida and President Yoon, dialogue and cooperation are expanding strongly in various fields, both in quality and quantity," Japanese Chief Cabinet Secretary Yoshimasa Hayashi said at a press conference Thursday.
The biggest obstacle that had impeded better relations two years ago was damages claims against Japanese companies by World War II-era Korean laborers.
In March last year, the Yoon administration announced plans to settle the claims without Japanese money.
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