2024.03.07 13:29Nation

福島・大熊の夜に月1の明かり 移住女性が出張バー―カクテルで交流の場に・東日本大震災13年

 「薄暗い大熊の夜に明かりを」。東京電力福島第1原発事故の影響で、いまだ多くの人が避難し、店も少ない福島県大熊町に、月に1度オープンするバーがある。2022年に移住した近藤佳穂さん(29)が始めた取り組みで、毎回多くの人でにぎわっている。
 近藤さんは東京都出身。移住前から、同原発敷地内で働く夫の克夫さん(29)が住む大熊町をたびたび訪れていた。「住める所があれば一緒に住むつもりだった。当初から町の雰囲気も好き」。先行的に除染していた同町の「特定復興再生拠点区域」の避難指示が22年6月に解除されたのに合わせて移住した。
 横浜市の老舗ホテルのレストラン部門で勤務していた経験を生かし、福島・浜通りのイベントなどに出張バーテンダーとして参加。大熊町の食材を使ったオリジナルカクテルなどで腕を振るう。「関東で働いていた時よりゆとりはある。伸び伸びやっている」
 23年5月からは、町内の喫茶店「レインボー」を借りて出張バー「Bar mauve」を始めた。毎月最終水曜日の午後6時、移住者や帰還者ら、さまざまな年代が集う店内は活気に満ちている。近藤さんは閉店の午後9時まで、休みなく100杯以上のカクテルを提供。口コミなどで評判は広がり、この日に合わせて訪問する客もいる。吉田淳町長(68)も皆勤だといい、「町民との情報交換の場になっている」と語った。
 来店した人全員の名前を呼びあいさつを交わす近藤さん。「生活の一部に町民同士の交流がある。みんな懐が本当に深い。移住者だからと嫌な思いをすることはない」と、大熊町での生活にすっかりなじんだ様子だ。町は若い世代を中心に移住者が増えているといい、友人も多い。
 先輩移住者として、「『被災地に住むなら何かしなくちゃ』と気負わずに選んでほしい。全員がプレーヤーである必要はない」と話す近藤さん。「『普通の人』に来てもらいたい。私はキャラクターが濃いので、希釈してほしい」と笑う。(2024/03/07-13:29)

2024.03.07 13:29Nation

13 Years On: Fukushima Town Brightened by Once-a-Month Bar


A bar opens once a month in Okuma, Fukushima Prefecture, to brighten the northeastern Japan town where many residents have not returned 13 years after the March 2011 earthquake and tsunami triggered the country's worst nuclear accident there.
   The bar is run by Kaho Kondo, 29, a Tokyo native who moved to Okuma in 2022. As her husband, Katsuo, 29, is a worker at Tokyo Electric Power Company Holdings Inc.'s meltdown-hit Fukushima No. 1 nuclear power plant, she had often visited Okuma.
   "We planned to live together (in Okuma) if there was a place to live," Kondo said. "I like the atmosphere of the town from the beginning."
   She moved to Okuma in June 2022, following the lifting of an evacuation order for a designated reconstruction zone within the town that had been decontaminated on a priority basis.
   Using her work experience in the restaurant division of a long-established hotel in Yokohama, south of Tokyo, Kondo has participated in local events in Fukushima as a temporary bartender, serving original cocktails made with ingredients from Okuma. "I feel more comfortable than when I worked in the Kanto region (including Tokyo)," said Kondo.

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