大手損保、「なれ合い」構図　事故車紹介、契約獲得にプラス―ビッグモーター不正

　中古車販売大手ビッグモーター（東京）の保険金不正請求問題で、大手損害保険会社との「なれ合い」の構図が浮かび上がってきた。複数の関係者によると、損保側は自動車事故に遭った保険契約者に、提携先のビッグモーターの修理工場を紹介。その見返りとして自動車損害賠償責任（自賠責）保険契約を獲得できるプラス面があった。
　大手損保は、過去にビッグモーターへ複数の社員を出向させていたことが判明している。現段階で不正への関与は確認されていないが、こうした持ちつ持たれつの関係が、不正を見逃す土壌となっていなかったか、徹底的な検証が必要だ。
　ビッグモーターなどによると、同社に大手損保から紹介された台数は年間約３万台に上ったとされる。一方、ビッグモーターは保険代理店として、紹介された事故車の台数に応じて、各社に中古車の販売に伴う自賠責保険の契約を割り当てていた。
　ビッグモーターの不正疑惑が浮上後、昨年６月には損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、東京海上日動火災保険の大手３社は事故車の紹介を中断。だが、損保ジャパンは、出向者を通じて不正の可能性があるとの情報を把握していながら、詳しい調査をしないまま７月には紹介を再開した。同社は「調査が不十分であり、当時の判断が誤っていた」（広報）と認めた。
　２６日付で辞任したビッグモーターの兼重宏行社長は２５日の会見で、「（損保側の）関与は一切ない」と断言した。ただ、なれ合いで見逃された可能性がある不正のしわ寄せは、保険契約者に及ぶ。水増し請求で修理代金が高くなった結果、本来は使う必要のない自動車保険の利用で保険の等級が下がり、割高な保険料を支払った事例もある。
　損保ジャパンは２６日、ビッグモーターの不正請求問題を受け、社外弁護士による調査委員会を設置したと発表。時期は未定だが、調査結果は公表する。損保各社は今後、ビッグモーターから保険金を回収。被害に遭った契約者を本来の等級に戻して、支払い過ぎた保険料を返還するなど、契約者への対応を急ぐ構えだ。（2023/07/27-08:28）

Japanese used car dealer Bigmotor Co.'s scandal over fraudulent auto insurance claims has spotlighted its cozy relations with major nonlife insurers.
   Nonlife insurance companies introduced repair shops of Bigmotor, their partner, to policyholders who had car accidents. The insurers, for their part, won new automobile liability insurance contracts for used cars sold by Bigmotor, informed sources said.
   According to an investigation report by outside lawyers, it was common practice among Bigmotor employees to deliberately damage cars and perform unnecessary work in order to pad maintenance fee claims submitted to insurers.
   Major nonlife insurers sent officials to Bigmotor on loan in the past, although such officials' involvement in the wrongdoing has not been confirmed.
   Critics say that a thorough investigation is needed to check whether the give-and-take relations between Bigmotor and insurers have created an environment allowing fraudulent acts to be overlooked.