中小賃上げ、3.35% 大幅増も二極化―23年春闘
連合は10日、2023年春闘の第5回集計結果を公表した。基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた賃上げ率は、300人未満の中小労働組合で平均3.35%(8328円)。急激な物価上昇を背景に前年同時期の2.02%を大幅に上回ったが、会社や地域によって賃上げ率は二極化している。
金属産業の中小労組が多く加盟するJAMは、ベア獲得額が0~3万円と組合ごとに差が広がった。経営側も「今回はばらつきが大きかった」(中小企業家同友会全国協議会の広浜泰久会長)と振り返る。
カギを握ったのは、原材料価格の高騰分や労務費を製品価格に転嫁できたかどうか。東京都内の中小金属製品メーカーは1万円の賃上げを実現。ただ、経営者の男性は「賃上げ分を価格に乗せないのが『常識』。今回のようなチャンスはまれだ」と話す。
都市部と地方の格差も目立つ。JAMの集計で鳥取、島根両県はベアの平均が5074円と、東京・千葉を1000円近く下回る。JAM山陰の前田陽生書記長は「格差が広がれば衰退が加速する」と危機感を募らせる。政府は労務費の価格転嫁を呼び掛けているが、第一生命経済研究所の新家義貴氏は「地方の中小企業は交渉力が弱い。どこまで広がるかはっきりしない」と話す。
今回の連合集計で、全体の平均賃上げ率は3.67%。7月公表の最終集計で前年の2.07%をどれだけ上回るかが焦点だ。(2023/05/11-09:29)
Pay Hike Offers by Small Firms Average 3.35 Pct in Japan
Monthly pay increases offered by small and midsize companies to their labor unions so far in this year's "shunto" spring wage talks have averaged 3.35 pct, or 8,328 yen, the Japanese Trade Union Confederation, or Rengo, said Wednesday.
The average increase rate for companies with fewer than 300 employees is up sharply from 2.02 pct from a year earlier in response to rapid price increases, the umbrella organization of labor unions in the country said.
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