教職員チーム、設置広がる　兵庫から熊本、宮城へ―阪神大震災２５年

　国内史上初の震度７を観測し、６４３４人の死者を出した阪神大震災から、１７日で２５年を迎える。震災を機に、兵庫県では災害時の避難所運営や学校再開を手助けする教職員の組織が発足した。国内外の学校現場を支援する活動が共感を呼び、地震や津波で被害を受けた宮城、熊本両県で同様の組織が誕生。被災経験を生かした支援の取り組みが広がっている。
　兵庫県の震災・学校支援チーム「ＥＡＲＴＨ（アース）」は、全国から受けた支援の恩返しとして、２０００年に結成された。教職員９０人でスタートし、現在２２０人が所属する。東日本大震災や熊本地震などの被災地で、学校の避難所運営や、児童生徒の心のケアなどを支援。地元教職員の負担を軽減し、早期の学校再開につなげてきた。平時は、県内外で教育関係者らに情報提供を行う。
　後に続いたのは熊本県だ。１６年４月の熊本地震で学校現場が混乱する中、ＥＡＲＴＨから助言を受けた。県教育委員会は「今後の災害に備え、熊本でも同様の組織が必要」と痛感。１８年６月に全国２番目のチームを立ち上げ、大阪北部地震や西日本豪雨で支援に入った。

　東日本大震災で被災した宮城県でも１９年１２月、教職員２８人のチームが始動。メンバーの石巻市立飯野川中学校の中鉢卓志教諭（４３）は震災時の学校運営で苦労し、「今後起き得る災害で被災地を手助けしたい」と意気込む。宮城では震災から９年を迎え、被災経験を伝える意味も込められている。
　三重県は今秋の発足を目指す。南海トラフ地震の発生が予想され、県教委の担当者は「大きな被害が出た際、学校教育のスムーズな再開には準備が必要」として人材育成を急ぐ。最終的に８０人規模のチームをつくる。１８年に地震被害を受けた北海道も、ＥＡＲＴＨの支援で同様の組織設立を検討中だ。
　ＥＡＲＴＨの発足メンバー、兵庫県立芦屋高校の浅堀裕主幹教諭（５７）は他県の動きに「とても心強い。全国で同様のチームが組織されれば、連携も取り合える」と歓迎する。さらに、各県の教訓を共有することで「さまざまな災害に対応できるようになる。国には各県が協力し合える仕組みを考えてほしい」と話している。（2020/01/12-07:07）

Teachers across Japan are forming disaster relief teams after the 1995 Kobe earthquake in western Japan, which will reach the 25th anniversary Friday.
   The first one was launched in 2000 in Hyogo Prefecture, hit hardest by the Great Hanshin Earthquake, which killed 6,434 people and registered the maximum 7 on Japan's seismic intensity scale for the first time.
   The Emergency and Rescue Team by School Staff in Hyogo, or EARTH, was established to return the favor the prefecture received from across the country in the aftermath of the temblor.
   The Hyogo team started with 90 teachers and other school staffers and now has 220 members.
   In the wake of the Great East Japan Earthquake in March 2011 and the April 2016 Kumamoto earthquakes in southwestern Japan, the team worked for disaster areas, assisting shelter management, providing mental care to children, helping local schools reopen and giving advice.