「友好」築いた港湾都市 日中、共通課題は高齢化―提携の神戸、横浜・日中国交正常化50周年
草の根交流で自治体が中国の都市と友好提携する事例は1972年の国交正常化を機に生まれ、50年後の現在379に及ぶ。第1号の神戸と第2号の横浜はいずれも73年に提携を実現。貿易港と多くの華僑を抱える2市は、国交正常化前から意欲を見せていた。
神戸市の宮崎辰雄市長(当時)は71年から日中国交回復を訴え、都市交流の希望を中国側に伝えていた。宮崎氏は72年10月に北京を訪れ、周恩来首相(同)に直接要望。周氏からは同じく港湾都市の天津を示された。交渉に当たり中国側は「姉妹都市」と呼ばないよう求めたという。米国由来のこの名称は上下関係を想起させ「どちらが姉か妹か分からない」(市国際課)。以来日中間の提携は「友好都市」に統一された。
当時中国側にも「新しいことをしたいという雰囲気があった」(同課)そうで、翌年6月24日に両都市は友好提携。中国にとって海外都市との提携は初めてのことだった。
天津事務所の2代目所長だった小柴善博さん(72)は現地の公園に日本式庭園を造る事業を任された。1989年6月末の着工予定だったが、同月4日に天安門事件が発生。当時一時帰国していた小柴さんを中国に戻すことに反対する市議もいたが、宮崎市長は「約束だから」と帰任を指示。小柴さんは「みんな逃げている中で来てくれたと大歓迎」され、半年かけて庭園を完成させた。「義理を重んじる国民性を感じた」と振り返る。
神戸から5カ月遅れの73年11月30日に上海市と友好提携した横浜市。飛鳥田一雄市長(当時)は上海側に「国の発展に役立つ」と訴えかけた。
スポーツや文化、経済の交流を進める中で、アクシデントも。新人職員時代に提携事務に携わり、現地事務所の初代所長も務めた日置正さん(79)は70年代後半、中国産タマネギを輸入する交渉に当たった。入荷したものの船内で芽が出て市場で扱えないことが判明。大量のタマネギを「市庁舎横の広場で売り歩いた」と苦笑する。
日中の経済力は提携当時から逆転する中、今共通する課題は人口減と高齢化問題だ。中国の出生率は建国以来最低となった。日置さんは「日本の高齢化もすごいが、中国もすごい」。小柴さんは「医療、介護、福祉で同じ問題を抱えている。こういう部分で交流を進めていくのも一つの方法」と新たな友情の姿を展望する。(2022/09/22-07:12)
50 Years On: Kobe, Yokohama Sought Ties with China Cities ahead of Normalization
Moves by Japanese prefectures and municipalities to seek friendly partnerships with local communities in China started after the normalization of diplomatic ties between the two East Asian nations in September 1972.
Kobe and Yokohama, both major port cities in Japan, were eager to conclude friendly partnerships with Chinese cities even before the diplomatic normalization.
A total of 379 prefectures and municipalities in Japan now have friendly partnership deals with Chinese counterparts. Kobe, the capital of Hyogo Prefecture, western Japan, became the first of them, in 1973, followed by Yokohama, the capital of the eastern prefecture of Kanagawa, in the same year.
Then Kobe Mayor Tatsuo Miyazaki had called for the restoration of Japan-China diplomatic relations since 1971 and informed the Chinese side of his wish for exchanges between the city and a Chinese city. He visited Beijing in October 1972 and conveyed his hopes directly to then Chinese Premier Zhou Enlai.
Zhou proposed the port city of Tianjin as a candidate. During negotiations on the partnership, the Chinese side requested that the words "sister cities," originating in the United States, should not be used because they suggest a hierarchical relation between the cities.
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