新型コロナの血管侵入法を解明 細胞同士の結合壊す―京大・阪大
京都大iPS細胞研究所の高山和雄講師と大阪大大学院の岡田欣晃准教授らの研究グループは、新型コロナウイルスが血管内に侵入する仕組みを解明したと発表した。血管内皮細胞の結び付きに関わるタンパク質の発現を抑制して細胞同士の結合を壊し、その隙間から血管内に侵入していた。研究成果は22日、米科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。
研究グループは気道の細胞を培養した「気道チップ」に新型コロナウイルスを感染させる実験を実施。その結果、血管内皮細胞の結合に関わるタンパク質が減って細胞同士の結合が破壊され、生じた隙間からウイルスが血管内に侵入することを確認した。
このタンパク質を増やす薬剤を「気道チップ」に投与したところ、細胞同士の結合が壊れにくくなり、血管内に侵入するウイルスが減少した。
実際の新型コロナ重症患者の肺を調べると細胞内のタンパク質がほぼ消失していた。血液中に含まれるタンパク質の量も軽症や中等症の患者より低かったという。
高山講師は「気道チップを使うことで、生体を使わずに病態の再現が可能となった。治療薬の開発などにつながることが期待される」と話している。(2022/09/22-03:09)
Japan Team Finds How Novel Coronavirus Enters Blood Vessels
A Japanese team has elucidated the mechanism by which the novel coronavirus enters human blood vessels, according to its study published on the U.S. journal Science Advances on Thursday.
After entering the human body, the virus suppresses the expression of a protein that bonds vascular endothelial cells, breaks the bond between cells and enters a blood vessel through the created spaces, the team said.
The team included Kazuo Takayama, instructor at Kyoto University's Center for iPS Cell Research and Application, or CiRA, and Yoshiaki Okada, associate professor at Osaka University Graduate School of Pharmaceutical Sciences.
Its experiments involved an "airway-on-a-chip" technology to simulate the response of an airway using a model created on a chip from cultured airway cells.
The airway models on chips infected with the novel coronavirus showed a decline in the protein for bonding vascular endothelial cells. The team confirmed that the virus broke cell junctions and entered blood vessels.
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