2022.09.04 07:03Nation

SNS発信、識者の見方は 宮内庁検討、「中身が重要」

 宮内庁がインターネット交流サイト(SNS)の活用を検討している。コロナ禍で皇室の活動が制限されてきた中で、実現すれば情報発信の強化につながると期待されるが、「炎上」などのリスクも抱える。皇室に詳しい専門家からは「発信の中身が大事」との指摘が出ている。
 以前から皇室のSNS活用の重要性を訴えてきた関東学院大の君塚直隆教授(英国政治外交史)は「世界の主要な王室で導入していないのは日本だけ。宮内庁はホームページ(HP)でほそぼそと発信するのみで、情報公開を怠ってきた。遅過ぎるが、始めることは良いことだ」と一定の評価をする。
 君塚教授によると、英国王室は1997年、故ダイアナ元皇太子妃の事故死で支持率が急落したのを機に、広報に力を入れ始めた。ツイッターやフェイスブック、インスタグラムを活用することで「若い人の関心が高まり、英国民は王室を正確に理解するようになった」という。
 日本では皇室に対する国民の関心が低いとして、「SNSの最大の利点は親しみを持ってもらえること。きちんと広報をして国民の理解を深めるべきだ」と指摘。その上で「皇室の活動費などはすべて税金であり、国民側も関心を持ってほしい」と注文を付けた。
 宮内庁の情報発信をめぐっては、秋篠宮家の長女小室眞子さんの結婚について誹謗(ひぼう)中傷が相次いだため、西村泰彦長官が昨年10月、「時代の変化に伴ってどういう情報発信の在り方がふさわしいのか、今後研究していきたい」と発言していた。
 成城大の森暢平教授(メディア史)は、SNS検討の背景について「価値観が多様化する時代に人々のニーズにどう対応するか、宮内庁が苦慮しているのだろう」と分析。「双方向性があだとなり、皇室のイメージを損なう事態も予想される。実現には困難もあるのでは」と懸念も示す。
 森教授はSNSを導入する場合、HP中心の発信とは発想を変える必要があるとして、「何を発信するのか、中身を考えることが大事だ」と強調した。(2022/09/04-07:03)

2022.09.04 07:03Nation

Experts Differ over Social Media Use by Japan Imperial Family


Experts show different views over the proposed use of social media to send out information on Japan's Imperial Family.
   Some experts think that the use of social media is expected to strengthen the Imperial Family's ability to disseminate information, while others express concerns that the family could come under fire with its posts.
   Naotaka Kimizuka, professor of British political and diplomatic history at Kanto Gakuin University in Yokohama, Kanagawa Prefecture, who is a longtime advocate of social media use by the Imperial Family, said that it is the world's only major royal family that has yet to use social media.
   The Imperial Household Agency has focused only on its webpage and neglected to disclose information actively, Kimizuka said. "It's too late, but it's good to start."
   The British royal family started stepping up public relations activity as its public support dwindled after Princess Diana died following a car crash in 1997, according to Kimizuka.

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