安倍首相、解散判断を慎重に見極め 改憲進展へ正念場―20年政局
2020年の政局は、安倍晋三首相が衆院解散・総選挙に踏み切るかが、最大の焦点となりそうだ。首相は、宿願の憲法改正をめぐる国会論議の行方や、連立を組む公明党の意向なども踏まえつつ、慎重に判断するとみられる。主要野党は反転攻勢に向け、合流協議の成否がカギを握る。
◇秋以降を有力視
「国民の信を問うべき時が来れば、ちゅうちょなく解散を決断したい」。首相は19年12月27日のBS番組の収録で、重ねてこう強調した。
現在の衆院議員の任期満了は21年10月21日。任期が折り返し地点の2年を過ぎると、政界では「いつ解散があってもおかしくない」(閣僚経験者)とされる中、「解散カード」をちらつかせる首相の言動を与野党とも注視する。
ただ、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業に絡む汚職事件や、首相主催の「桜を見る会」をめぐる問題など、ここに来て政権の足元には揺らぎも見える。
このため、与党内では「早期解散はない」との見方が拡大。夏には東京五輪・パラリンピックも控えるため、秋以降が有力視されている。
21年に入ると任期満了が近くなり、今度は「追い込まれた」印象が強まる。公明党も同年夏の東京都議選との間隔を空けるため、20年秋ごろの衆院解散を求める意見が強い。
これに対し、野党内では依然、年明け早々の解散を警戒する声が消えない。首相が一連の「疑惑隠し」を狙って解散に打って出るとの見方からだ。
首相の自民党総裁としての任期は21年9月まで。首相自身は否定するが、総裁4選論もくすぶる。
一方、自民党内の一部には、首相が影響力を温存するため、五輪後の任期途中で辞任するとの臆測もある。この場合、党内で「ポスト安倍」候補の動きが本格化しそうだ。
「安倍路線」の継承をにじませる岸田文雄政調会長や、方針転換を狙う石破茂元幹事長は、既に次期総裁選へ強い意欲を表明。菅義偉官房長官、茂木敏充外相、河野太郎防衛相、加藤勝信厚生労働相らも有力候補と目されており、新首相の下で次期衆院選が行われる可能性もある。
◇レガシー狙い
第1次政権を含む首相の通算在職日数は、19年11月に歴代最長を更新した。20年8月には連続在職日数でも、大叔父の故佐藤栄作元首相の記録を塗り替える。
こうした中、首相は長期政権の総仕上げに、改憲論議の進展を図る構えだ。自身のレガシー(政治的遺産)とするのが狙いで、「必ずや私自身の手で(改憲を)成し遂げたい」と強調する。
もっとも、首相の任期中に改憲の国会発議にこぎ着けるのは容易ではない。自民党は20年の通常国会で懸案の国民投票法改正案を成立させ、具体的な改憲論議入りを目指すが、主要野党が抵抗するのは確実で、思惑通りに進むかは見通せない。
首相が衆院解散を選択すれば、与党などの「改憲勢力」が、発議に必要な衆院の3分の2の議席を失う可能性もある。
◇野党再編、見通せず
主要野党は次期衆院選に向け、安倍政権と対峙(たいじ)する態勢を構築できるかが問われる。立憲民主、国民民主両党は先の幹事長会談で、合流する方針を確認したが、最終判断は年明けの党首会談に委ねた。
両党間には理念や人事、基本政策などをめぐり、認識のずれが残る。通常国会前に合流できるかが焦点だ。
共産党との連携も課題。国民内にはもともと、共産党との共闘に否定的な議員も多い。立憲との合流が実現しても、衆院選の候補者調整は難航する可能性がある。(2020/01/01-07:29)
FOCUS: Possible Snap Election Top Political Issue in 2020
Whether Prime Minister Shinzo Abe will call a snap election is expected to be the biggest issue in the Japanese political scene in 2020, pundits say.
Many politicians speculate that Abe may dissolve the House of Representatives, the all-important lower chamber of the Diet, the country's parliament, for a snap election in autumn after this year's Tokyo Olympics and Paralympics.
Abe will carefully consider whether and when to use his general election card while examining progress in Diet debates on proposed constitutional reform and the opinion of Komeito, the coalition partner of Abe's ruling Liberal Democratic Party, according to the pundits.
"I'll make a decision on a parliament dissolution without hesitation if the time comes to go to the people," Abe said Friday during the recording of a television program.
The four-year term of the Lower House lawmakers is set to end Oct. 21, 2021. Lawmakers are increasingly restless as the halfway point has already been reached.
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