2022.07.23 13:35Nation

乗客家族「苦しさ消えず」 知床観光船事故3カ月、犠牲者悼む―北海道

 北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故は23日、発生から3カ月となった。乗客の家族は「苦しさは消えない」と悲しみと憤りを抱え、地元の斜里町関係者からは犠牲者を悼む声が聞かれた。
 「いまだに苦しい。奪われた命を返してほしい」。事故で20代の親戚を亡くした北海道の男性は涙ながらに訴えた。運航会社「知床遊覧船」(斜里町)に対し「憤りしか感じない」と声を荒らげ、同社を指導監督する立場にある国土交通省にも「事故を防ぐきっかけはいくらでもあったのでは。全てが後手後手に感じる」と指摘。「すさまじい悲しみで、精神的に壊れてしまいそう」と言葉を詰まらせた。
 事故の犠牲者を悼むため、斜里町役場に置かれた献花台には、現在も花を手向けに多くの人が訪れている。地元で民宿を営む松田賢一さん(71)は「同じ観光事業者として忘れない」という気持ちから23日に献花した。乗客の中に宿泊客として面識のあった人がいたといい、「楽しみに来ただけで何の罪もない人が事故に遭ってしまい、つらい。事業者が本当に腹立たしい」と厳しい表情で語った。
 事故発生直後から対応に当たった同町の増田泰総務部長は「いまだ行方不明の方もおり、乗客のご家族は先が見えないつらい思いのままだ。3カ月たったが、区切りを付けられる状況ではない」と悲痛な表情を浮かべた。「ここで事故が起きてしまった責任も感じている。安全な観光地づくりに努めるのがわれわれの役目」と話した。
 事故は4月23日に発生。14人の死亡が確認され、12人が行方不明となっている。乗船者とみられる2人の遺体が北方領土・国後島で、1人の遺体がロシア・サハリンでそれぞれ見つかり、日本側は引き渡しを求めているが、ロシア側との調整は難航し、両政府間で協議が続いている。(2022/07/23-13:35)

2022.07.23 13:35Nation

3 Months On, Families of Boat Sinking Victims Remain in Agony


Families of the Kazu I boat sinking victims continue to live in distress three months after the tragedy took place off the Shiretoko Peninsula in the northernmost Japan prefecture of Hokkaido.
   The tour boat, operated by Shiretoko Yuransen in the Hokkaido town of Shari, sank on April 23, leaving 14 of the 26 people aboard dead and the 12 others missing.
   "I still live in agony. I want to have the lives back," a Hokkaido resident who lost his young relative in the accident said in tears.
   The man voiced his outrage at not only the company but also the transport ministry, which is in charge of supervising the tour boat operator. "There could have been many opportunities to prevent the accident. I feel that everything was done too late."
   "I'm so sad that I'm about to have a mental breakdown," the man said.

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