島田防衛次官、退任し参与に 官邸は留任認めず
防衛省の島田和久事務次官が1日付で退任した。年末に国家安全保障戦略などの改定を控え、岸信夫防衛相は島田氏の留任を求めたが、首相官邸側が「任期2年」の慣例を主張し認めなかった。岸氏はこれを受け、島田氏を同日付で防衛相政策参与と防衛省顧問に充てた。
「日本が作る防衛計画に世界中が注目し、期待している。皆さんの力で大いなる成果を出してほしい」。島田氏は1日の離任式で、幹部職員らを前にこう訓示した。
関係者によると、岸氏の実兄である安倍晋三元首相も、島田氏の交代に反対した。島田氏は、2012年12月から約6年半、首相秘書官として安倍氏に仕え、現在でも関係が深い。
今回の人事は、防衛費増額をめぐる政府・自民党内の対立が原因との見方がある。安倍氏はかねて、大幅増を求める発言を繰り返してきた。政府が先月閣議決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」をめぐっても、「国内総生産(GDP)比2%」に言及した上で、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記させた。
こうした動きに対し、官邸幹部は「一線を退いた人は発言を控えるべきだ」と反発。島田氏を退任させることで、安倍氏をけん制するとともに、安保戦略などの改定論議を、岸田文雄首相の主導で進める狙いがありそうだ。
省内では、島田氏の続投は既定路線とみられていた。新たに就任した鈴木敦夫次官は、次官級の防衛装備庁長官から異例の横滑りで、今回の交代劇は驚きを持って受け止められた。
島田、鈴木両氏は1985年に旧防衛庁入りした同期。関係者によると、鈴木氏を次官に充てる人事は、島田氏が自ら決めたという。
防衛省は新体制の下、安保戦略と防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の改定に臨む。一方、岸氏は引き続き、島田氏を議論に関与させる考えで、年末に向け官邸側との主導権争いが激しくなる可能性もある。(2022/07/02-07:20)
Skirmish over Defense Spending behind Japan Key Appointment
The Japanese government's recent defense ministry appointment has fueled speculation about a simmering skirmish over a defense spending increase proposed in response to Russia's invasion of Ukraine.
The government has replaced Vice Minister Kazuhisa Shimada with Atsuo Suzuki, who had served as commissioner of the Acquisition, Technology and Logistics Agency under the Defense Ministry.
The appointment, which went into effect Friday, was decided although Defense Minister Nobuo Kishi had requested that Shimada be kept at the ministry's top administrative post ahead of a planned revision of Japan's key defense policy papers including the National Security Strategy toward year-end.
Prime Minister Fumio Kishida's office rejected the request, saying that the government customarily limits the term of vice minister basically to two years.
Shimada left office as vice minister Friday, but Kishi named him special adviser to the minister and consultant for the ministry within the day.
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