秋の知事選へ基盤固め 「前哨戦」で与野党激突―沖縄【注目区を行く】
改選1議席を争う沖縄選挙区では、知事の玉城デニーら「オール沖縄」勢力が推す無所属現職の伊波洋一と、自民党新人の古謝玄太が激しくぶつかる。年明けから重要選挙が続く沖縄は選挙イヤーの真っ最中。与野党とも最終決戦とにらむ9月の知事選へ参院選を「前哨戦」と位置付け、基盤固めを狙う。自民党が12年ぶりに全県選挙を制するかが焦点となっている。(敬称略)
「県経済の回復はとても大事だ。新型コロナウイルス感染対策をしながら観光客を迎え入れていく」。伊波は6月26日の那覇市の集会で、コロナ禍で疲弊した沖縄経済の再生を真っ先に訴えた。
立憲民主、共産、社民各党などに一部保守が加わるオール沖縄勢力を結びつける最大の主張は、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設反対だ。にもかかわらず伊波が演説で「辺野古反対」を後回しにしたのは、陣営内の「迷い」が反映されている。
辺野古移設の是非をめぐる2019年の県民投票で「埋め立て反対」が7割を超えたのをピークに、移設問題に対する県民の関心は徐々に低下したとの見方もある。保守系企業などの離反にも歯止めがかからない。年明け以降、名護など各市長選で4連敗を喫し、オール沖縄には「移設反対」を前面に掲げることにためらいの空気が広がる。
選挙戦を控えた伊波陣営内では「基地一辺倒では勝てない」との声が相次いだ。陣営幹部も伊波に「一番に訴えるべきは観光と経済の立て直しだ」と念を押し、方針は定まったかに見えた。
だが、反基地強硬派の伊波は、これに反するかのように演説の大半を基地問題に費やすこともある。主張の「揺らぎ」は選挙戦の不安要素だ。
玉城との連携に誤算が生じたことでも危機感が強まっている。
陣営は知事選も意識し、玉城と伊波を街頭で並ばせる「セット戦術」で票の掘り起こしを図ろうとしたが、伊波と主張に開きがある玉城が微妙に距離を置いているとみられ、思うように進まない。しかも、ここに来て玉城がコロナ感染で「戦線離脱」。伊波側の県議は「痛手だ」と口にした。
◇9年ぶりの首相応援
「これから10年、20年、50年後の沖縄の未来を描き、実現したい」。古謝は6月25日、名護市の街頭で声を張り上げた。
自民党は選挙イヤーの連戦連勝に勢いづく。流れを断ち切るまいと首相の岸田文雄は7月1日、てこ入れのため沖縄に乗り込んだ。党関係者によると、首相が国政選挙の期間中に沖縄入りするのは13年参院選以来9年ぶりだ。
岸田は3カ所で街頭演説。伊波がかつて市長を務めた宜野湾市では普天間飛行場に言及し、「しっかり辺野古移設を進め、普天間の全面返還を一日も早く実現しなければいけない」と訴えた。岸田の隣には古謝とともに、知事選に挑む前同市長・佐喜真淳も並んだ。
ウクライナ危機をきっかけに日本周辺の安全保障環境に対する不安が高まったこともあり、ここは争点化を回避するより前面に掲げるのが得策との判断があるようだ。古謝も公約で「辺野古移設容認」を打ち出した。自民党が全県選挙で「移設容認」を明確にしたのは、14年にオール沖縄が誕生して以来初めてだ。
中央からは首相だけでなく、前首相の菅義偉、幹事長の茂木敏充ら党幹部が続々と入った。茂木派や岸田派の秘書団も常駐して全面支援する。
もっとも、県連の視線はあくまで「先」に向いている。県連関係者はこう力を込めた。「天王山は知事選。そこで勝てば沖縄の政治状況は変わる。県民の意識をがらっと変えるために参院選で勝つことが大事なんだ」
◇立候補者名簿
【沖縄】
伊波 洋一 70 外防委員 無現(1)
古謝 玄太 38 元総務省職員 自新
推(公)
山本 圭 42 自営業 N新
河野 禎史 48 参政党員 諸新
金城 竜郎 58 幸福実現党員 諸新
(注)敬称略。年齢は投票日現在。党派名は自=自民、公=公明、N=NHK、諸=諸派、無=無所属。丸数字は当選回数。丸かっこは推薦政党。(2022/07/03-07:14)
FOCUS: Upper House Election Seen as Precursor to Okinawa Race
With Okinawa Prefecture in the middle of a year full of key elections, local politicians consider Sunday's House of Councillors poll a precursor to this year's final election event, the gubernatorial race in autumn.
Incumbent Yoichi Iha, an independent candidate backed by the All Okinawa group including Okinawa Governor Denny Tamaki, and Genta Koja of the Liberal Democratic Party will go head-to-head in the battle for the single available seat in the Okinawa prefectural constituency in the election for the upper chamber of the Diet, Japan's parliament.
The focus will be whether the LDP can secure its first victory in 12 years in an election that involves voters across the southernmost prefecture.
Underscoring the importance of revitalizing Okinawa's economy, battered by the COVID-19 pandemic, Iha told a rally in Naha, the prefecture's capital, on June 26, "We will receive tourists while implementing novel coronavirus infection control measures."
The core policy binding the All Okinawa group is opposition to the planned relocation of the U.S. Marine Corps' Futenma air station in Ginowan, Okinawa, to the Henoko district in another Okinawa city of Nago.
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