2022.06.19 07:05Nation

宇宙ベンチャー、「脱ロシア」模索 国内ロケット確保急務に

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、人工衛星の開発や運用を手掛ける国内のベンチャー企業が戦略の見直しを迫られている。打ち上げ実績が豊富なロシアのロケット「ソユーズ」が事実上利用できなくなったため。宇宙ベンチャーによる「脱ロシア」の模索が始まった。
 商業用の小型衛星は防災や農業などで宇宙空間からのデータ活用が広がり、世界的に打ち上げ数が増加。経済産業省の予測では、2020年からの5年間で打ち上げ数は最大2400機に上る。日本政府も多数の小型衛星を連携させて情報収集する「小型衛星コンステレーション(衛星網)」の構築を掲げる。
 これに併せ、衛星運搬を担うロケットの需要も高まる。だが、昨年の世界のロケット打ち上げ成功数136回のうち、22回の実績を持つソユーズは制裁の応酬により利用が難しくなった。キヤノン電子やIHIエアロスペースなどが設立した小型ロケット打ち上げ事業者のスペースワン(東京)は「ロケットが不足する可能性がある」と指摘する。
 影響は国内のベンチャー企業に及ぶ。小型衛星網構築を進めるアクセルスペースホールディングス(同)は、今年の4機同時の打ち上げ計画を来年に延期。「信頼度が高い」とソユーズを過去6回利用したが、別のロケット利用を検討する。悪天候でも地球観測が可能な小型の合成開口レーダー(SAR)衛星を開発するシンスペクティブ(東京)も急きょ、今夏の打ち上げで予定したソユーズの活用を断念。米社に委託し、秋の打ち上げを目指す。
 国内でもロケット開発は進むが、日本の商業衛星の国内打ち上げ実績は昨年までの3年間で0件。旺盛な需要に応えるため、低価格な国内ロケットの確保が急務とされる。
 スペースワンは現状を「追い風」と捉え、年内の初号機打ち上げを目指し開発を急ぐ。インターステラテクノロジズ(北海道大樹町)も来年、衛星運搬用ロケットの打ち上げを計画。同社の稲川貴大社長は「1桁安い価格帯」を目指し、「早期の打ち上げでしっかり需要を取っていきたい」と強調する。
 ロケット開発とともに、打ち上げ場の整備も国内各地で進み、宇宙輸送の低価格化や手続きの簡略化に期待が高まる。スペースワンが打ち上げを計画する和歌山県串本町や、インターステラが拠点とする大樹町のほか、大分空港(大分県国東市)でも年内の打ち上げが予定されている。(2022/06/19-07:05)

2022.06.19 07:05Nation

FOCUS: Japan Space Startups Seeking to Manage without Soyuz


Japanese startups developing and operating satellites are being forced to review their business strategies as they can not use Russian Soyuz rockets following Russia's invasion of Ukraine.
   The number of small commercial satellite launches has been rising worldwide in line with the increasing use of data from space for such purposes as disaster prevention and agriculture.
   The Japanese government also aims to develop a constellation of small satellites to gather information.
   The Ministry of Economy, Trade and Industry forecasts the number of such satellite launches could total up to 2,400 in the five years from 2020.
   Despite growing demand for rockets, sanctions over Russia's aggression have effectively made it impossible to utilize Soyuz, which was used for 22 out of 136 successful rocket launches worldwide in 2021.

最新ニュース

写真特集

最新動画