２６人乗り観光船、消息絶つ　「浸水中」と救助要請後―北海道・知床

　２３日午後１時２０分ごろ、北海道・知床半島沖を航行していた観光船「ＫＡＺＵ１（カズワン）」（１９トン）から、「浸水している」と第１管区海上保安本部（小樽市）に救助要請があり、約１時間後に連絡が途絶えた。同本部によると、同船には子どもを含む乗客乗員２６人が乗っており、巡視船と航空機が周辺海域の捜索を続けている。
　ＫＡＺＵ１は知床遊覧船（斜里町）が所有する定員６５人の小型観光船。救助要請当時は大人２２人、子ども２人の乗客と船長ら乗員２人を乗せ、知床岬の南西にある「カシュニの滝」付近のオホーツク海を航行していた。乗員乗客は全員、救命胴着を着用していた。
　同本部によると、ＫＡＺＵ１は救助要請後、同社側と断続的に連絡を取っていたが、「船首が浸水し、３０度くらい傾いている」と報告した後、通信が途絶えたという。
　知床遊覧船のホームページなどによると、同社は２隻の観光船を所有し、知床半島西側沿岸を遊覧する三つのコースを設定している。ＫＡＺＵ１は２３日午前１０時に斜里町のウトロ港を出発し、半島先端の知床岬で折り返して帰港する約３時間のコースを予定していた。
　現場に近いカシュニの滝は知床観光拠点の一つで、断崖が続く海岸沿いにある。周辺に道路はなく、船以外での接近は難しいという。同本部は航空自衛隊に災害派遣を要請し、空自第２航空団の千歳救難隊が救難捜索機を派遣した。
　国土交通省などによると、ＫＡＺＵ１は昨年５月、海面に浮いたロープと接触して乗客３人に軽傷を負わせ、同６月にはウトロ港近くの浅瀬に乗り上げる事故を起こしていた。同省北海道運輸局は一連の事故を受け、知床遊覧船を行政指導していた。
　札幌管区気象台によると、２３日の現場付近の海域の海面水温は２～３度、午後１時ごろの波の高さは２メートル、同１時半ごろは３メートルだった。斜里町には同日、強風注意報や波浪注意報が出されていた。（2022/04/24-00:46）

The Japan Coast Guard on Saturday received a report from a sightseeing ship carrying a total of 26 passengers and crew members that it had been flooded in waters off the northernmost Japan prefecture of Hokkaido.
   Following the report at around 1:15 p.m. (4:15 a.m. GMT), the ship lost contact, according to coast guard officials.
   The Coast Guard has sent five patrol vessels and two planes to the site for search and rescue operations.
   According to the First Regional Coast Guard Headquarters, 22 adult passengers and two children as well as two crew members were on the ship, called Kazu I, which was sailing in the Sea of Okhotsk off Cape Shiretoko.
   According to the website of the ship's operator, the small sightseeing ship has a capacity of 65 passengers.