2022.01.06 07:10Nation

下町ボブスレー、北京へ望み 五輪2度「不採用」糧に―「いつかオールジャパンで」

 北京冬季五輪の開幕まで1カ月を切る中、東京都大田区の町工場などによるプロジェクト「下町ボブスレー」が3度目の五輪挑戦に向けて、そり開発を進めている。過去2大会は不採用。メンバーの頭には「解散」もよぎったが、経験を糧に今回、イタリア代表への採用を狙う。
 バチッ、バチッ―。冷たい空気に鉄の焼けるにおいが混じる。2021年12月、大田区の溶接工場で下町ボブスレーの溶接を取り仕切る後藤智之さん(37)が一人、黙々と作業をしていた。「いかにひずみを出さず溶接するか。タイムの遅れだけでなく、振動で壊れないように気を付けている」
 プロジェクトは11年に発足。これまで国産製品がなかったボブスレー競技のそり開発に目を付け、切削や溶接、研磨など金属加工に携わる職人の技術力を世界にアピールしようとした。
 だが、道のりは険しかった。14年ソチ五輪は日本代表から採用を見送られ、18年平昌五輪はジャマイカ代表との契約が大会直前に白紙に。「『下町』は消滅してしまうのか…」。平昌大会後にプロジェクトの委員長に就任した黒坂浩太郎さん(52)は、不安を抱きながらも「今まで関わってきた人たちの積み重ねを途絶えさせてはいけない」と再始動を決意した。
 乗ってもらえる国はないか。21年3月、テスト走行したイタリア代表から好感触を得た。ただ、プロジェクト参加企業はピーク時の約100社から20社程度まで減り、そりの部品約200点を作る1社当たりの負担は増えた。各社が通常業務の合間や、残業時間にそり製作に当たり、コーナリング性能や約150キロある機体の強度を向上。設計を始めた同年8月から約4カ月で2人乗りのそり2台を造り上げた。イタリアは今年1月の世界大会で「下町」のそりを使い、同月中旬にも北京五輪で採用するか判断するという。
 冬季五輪をめぐっては、札幌市が30年大会の招致を目指しており、競技会場として長野市のそり競技場を活用する案を示している。「長野でテスト走行が本格化すれば楽しくなってくる。そりも選手も、オールジャパンで五輪を戦いたい」。日本代表から採用され、母国の舞台で「下町」のそりが走る日を、黒坂さんは夢見ている。(2022/01/06-07:10)

2022.01.06 07:10Nation

"Shitamachi" Bobsleigh Project Pins Hopes on Beijing Games


With less than a month to go until the Beijing Olympics, a group of craftsmen mainly in a Tokyo "shitamachi" blue-collar district is trying for the third time to get their sleds used in Olympic bobsleigh competitions.
   As their sleds were not used by any national team in the past two Winter Olympic Games, members once considered dissolving their group.
   After their bitter experience, they are now pinning hopes on the Beijing Games, set to open on Feb. 4, as the Italian team may adopt their sleds.
   Tomoyuki Goto, 37, was seen working on a sled quietly alone at a welding factory in Tokyo's Ota Ward, a shitamachi area, last month.
   "The key is how to weld parts without creating strain. I take care so that the sleds can log good times but will not break due to vibrations," said Goto, in charge of the welding process in the project.

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