首相、官房長官が官邸不在　北朝鮮ミサイル発射時

　北朝鮮が弾道ミサイルを発射した１９日午前、岸田文雄首相と松野博一官房長官はいずれも衆院選の選挙活動のため首相官邸を留守にしていた。首相は発射を把握した後も遊説を続けた。官邸に戻った際、記者団に「十分な態勢を取っていた」と述べ、政府の危機管理に問題はなかったと強調。しかし、野党は早速、首相らの対応を批判し、自民党内からも衆院選への影響を懸念する声が上がった。
　首相はミサイル発射時、衆院選第一声のため福島市に入っていた。演説後、事態の把握に努めると記者団に語ったが、そのまま次の遊説先の仙台市に向かい、駅前でマイクを握った。この後、秋田県内で予定していた日程は取りやめた。
　この頃、松野氏は千葉県内、木原誠二官房副長官は東京都内で自身の選挙活動をしており、同じく官邸を不在にしていた。
　首相周辺によると、首相が発射の報告を受けたのは第一声の後だった。非常事態を把握しながら遊説を続けたことに、自民党内からは「最悪をいつも想定すると言っていた岸田首相がすぐ官邸に戻らなかったのはまずかった」（中堅）との声が漏れる。首相は「総合的に勘案した結果だ」と記者団に釈明したが、同党関係者は「中途半端な対応だ」と苦言を呈した。
　これに関し、自民党の甘利明幹事長は党本部で記者団に「ルールに従い磯崎仁彦官房副長官が待機していた。岸信夫防衛相も都内にいた」と擁護した。
　野党は首相の対応をやり玉に挙げた。立憲民主党の枝野幸男代表は都内の街頭演説で「危機管理への意識が足りないことを露呈した。この状況で東京直下型地震が襲っていたら、誰が官邸で指揮を執ったのか」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表も「選挙期間中でも首相と官房長官が同時に東京を離れることは避けるべきだ」とツイッターに投稿した。（2021/10/19-21:31）

Japanese ruling and opposition lawmakers expressed concerns Tuesday that both Prime Minister Fumio Kishida and Chief Cabinet Secretary Hirokazu Matsuno were absent from the prime minister's office in Tokyo for election campaigning when North Korea fired ballistic missiles.
   Kishida told reporters when he returned to the prime minister's office Tuesday afternoon that there was no problem with his government's crisis management.
   When the missiles were fired in the morning, Kishida was in the northeastern city of Fukushima to kick off his campaign tour for the Oct. 31 election for the House of Representatives, the lower chamber of the Diet, the country's parliament.
   He told reporters in Fukushima that he would make efforts to figure out the situation after the missile firing. He then visited Sendai, another northeastern city, before canceling the rest of his campaign tour for the day.
   Matsuno was also away from the prime minister's office for his own campaigning in Chiba Prefecture, east of Tokyo, at the time of the missile firing.