自民、衆院選へ渦巻く危機感 総裁選、安倍氏焦点―野党「菅降ろし」警戒
秋の衆院選に向け最後の試金石と目された横浜市長選でも自民党が惨敗を喫した。菅義偉首相(党総裁)の新型コロナウイルス対応に対する有権者の強烈な不満が改めて浮き彫りとなり、党内には「菅首相で選挙は戦えない」と危機感が渦巻く。総裁選が迫る中、刷新への期待が出ており、最大派閥を実質的に率いる安倍晋三前首相の動向が焦点となりそうだ。
◇首相への「ノー」
「大変残念な結果だ。謙虚に受け止めたい」。首相は市長選から一夜明けた23日、首相官邸で記者団に力なく語った。9月の総裁選については「(出馬の)考え方に変わりない」と強調した。
コロナ対応が最大の争点になった横浜市長選で、首相は近い関係にある小此木八郎前国家公安委員長を全面支援。だが、小此木氏の得票は32万票余りで、野党系の山中竹春氏に18万票差をつけられた。
保守分裂もあったが、首相の選挙区の衆院神奈川2区を構成する同市西、南、港南3区でも得票が下回った。昨年9月の政権発足以降、自民党は国政補選や大型地方選で負けが込んでいる。
党内では「選挙の顔」としての首相に厳しい見方が広がった。閣僚経験者は「民意が首相に『ノー』を突き付けた」と指摘。中堅は「このままだと衆院選は悲惨なことになる」と漏らす。ある大阪選出の若手は「首相交代を求めて声を上げようと仲間と話し合っている」と明かした。
◇交錯する思惑
首相を支持してきた安倍氏や麻生太郎副総理兼財務相の「翻意」を望む向きも少なくない。安倍氏の出身派閥、細田派のベテランは党が衆院選の情勢調査を最近行ったと明かした上で、「無残な結果に違いない。安倍氏にも危機感を持ってもらいたい」と訴える。麻生派幹部は「うちは菅氏支持」としつつ「今のところは」と付け加えた。
総裁選をめぐっては岸田文雄前政調会長の出馬論が勢いを増してきた。竹下派幹部は「岸田氏が出るなら安倍、麻生両氏のお墨付きが得られたということだ」と解説。公明党からも「岸田氏なら菅氏よりまし」(幹部)との声が出ている。
24日には首相が東京五輪と共にこだわったパラリンピックが開幕するが、政権浮揚は見込めない。開催中に自粛ムードが緩んで感染がさらに拡大する恐れもある。
首相の後ろ盾となってきた二階俊博幹事長は23日、「情報交換」を名目に二階派幹部を党本部に集めた。ある出席者は「引き続き首相を支えるべきだ」と主張したが、二階氏自身は一言も発しなかった。二階氏は、気脈を通じる森山裕国対委員長(石原派)とも約50分間会談した。
◇立・共、残る不協和音
野党は衆院選へ手応えを深めている。立憲民主党の安住淳国対委員長は23日、記者団に「大きな固まりになれば地滑り的勝利を起こせると立証できた」と指摘。共産党の小池晃書記局長も記者会見で「共闘の大きな勝利だ」と語った。
一方で自民党内の「菅降ろし」の動きに神経をとがらせる。内閣支持率が低迷する首相が相手なら衆院選を有利に戦えるとみているためだ。立民の福山哲郎幹事長は記者団に「1年前に担いだ菅氏を否定するのは非常に違和感がある」とけん制。同党幹部は「首相交代で支持率が戻れば厳しくなる」と漏らした。
立民、共産両党の衆院選競合区は約70に上り、候補者調整も課題だ。立民は共産との共闘に否定的な連合への配慮から協議入りに及び腰。共産側には今回の横浜市長選を含めて立民系候補の自主支援に回されてきたことへの不満も高まる。
小池氏は会見で「選挙協力は対等、平等、相互尊重だ」と強調。立民に政策合意を改めて促した。(2021/08/23-20:26)
FOCUS: Sense of Crisis Growing in LDP ahead of Lower House Election
A sense of crisis is growing rapidly in Japan's ruling Liberal Democratic Party ahead of an upcoming House of Representatives election, in the wake of the overwhelming defeat of a candidate backed by Prime Minister and LDP President Yoshihide Suga in Sunday's Yokohama mayoral election, watched closely as the final precursor to the general election for the all-important lower chamber of the Diet, the country's parliament.
The latest election result, which apparently reflected strong voter frustration at the Suga government's measures against the novel coronavirus, followed a series of election defeats for the governing party. Some LDP members voiced concerns that the party cannot fight the Lower House election under Suga.
With hopes growing in the party for replacing its leadership in the lead-up to the LDP presidential election, to be held in September, moves by former Prime Minister Shinzo Abe, who effectively heads the biggest LDP faction, are believed to be crucial.
"The result (of the Yokohama mayoral election) was very regrettable, and I takes it humbly," Suga told reporters Monday, while stressing afresh his intention to run in the LDP leadership race. In the mayoral election in the capital of Kanagawa Prefecture, south of Tokyo, an opposition-backed candidate beat seven other contenders, including former National Public Safety Commission Chairman Hachiro Okonogi, who was backed by Suga.
An LDP member who previously served as a cabinet minister commented, "Voters (in Yokohama) said no to Suga."
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