2021.08.18 07:24Nation

「タリバン、一枚岩でない」 日本は蛮行阻止へ声を―写真家の長倉洋海氏・アフガン

 でイスラム主義組織が20年ぶりに復権し、国際社会を揺るがしている。1980~2000年代に同国でソ連軍、と戦ったマスード司令官(後に暗殺)を密着取材し、現在もアフガン支援に関わる写真家の長倉洋海氏(68)は16日、取材に対し「の中には留学経験者や協調路線の人もいる。世界は見守る必要がある」と語った。一問一答は次の通り。
 ―による蛮行は繰り返されるか。
 この先1カ月を見ないと分からない。かすかな希望は、旧政権幹部が行っているとの交渉だ。女性の迫害や市民の処刑をやめるよう求めており、うまくいく可能性は残されている。ただ、地方までは目が届かないので、カブール以外の全土でかつての蛮行が復活する恐れもある。
 ―は国際社会と対話をするか。
 タリバンも一枚岩ではない。国際社会との協調路線を支持する人もいるし、武力で西側の思想を一掃するという過激な思想の持ち主もいる。世界を敵に回しても、隣国のパキスタン、中国、ロシアが支持してくれれば何とかなるからだ。重要なのは、世界から孤立しては生き残れないと考える上層部がどの程度いるかだ。首都での暮らしや留学を経験した幹部らが影響力を発揮し、良い方向に進んでほしいと願う。
 ―日本を含む国際社会がとるべき行動は。
 市民らへの迫害に反対し、選挙で国民の信を問うことを要求すべきだ。それが達成されなければ支援をやめると明言してほしい。日本は米国に次ぐ支援国で、アフガンの対日感情は良い。縁の深い国が言うべきことをしっかり言うことが大事。過激派が育って国外に出れば、最終的には日本も手痛い代償を払う。
 ―米国は過去20年間何をしてきたのか。
 女性たちが外に出て学校に行き、夢を持てるようになったことは素晴らしいことだ。米国はそれが長く続くようにきちんと支えるべきだった。しかし政府の不正や汚職に目をつぶり、表面を取り繕うだけで、アフガンに民主主義を根付かせることができなかった。
 ―アフガン政府はあまりに早く崩壊した。
 ガニ大統領は「最後まで戦う」と言いながら国外に逃げた。強い精神力と指導力、人間性がなければ仲間はついてこない。今回、政府軍には「何を守るのか」という理念がなかった。また、国を再建する能力を持った人や文化的な知識人らがどんどん流出していくのは悲しい現実だ。国を支える屋台骨が細ってしまう。

 ◇長倉洋海氏
 1952年、北海道釧路市生まれ。同志社大卒業後、時事通信社勤務を経て、写真家としてやエルサルバドルなど世界の紛争地を巡る。写真集に「Massoud」がある。2004年にNGO「アフガニスタン山の学校支援の会」を設立し、北部パンシールで子供たちの教育支援に取り組む。(2021/08/18-07:24)

2021.08.18 07:24Nation

INTERVIEW: World Needs to Watch Taliban over Next Month


The international community should keep an eye on the Taliban's moves over the next month, Hiromi Nagakura, a Japanese photographer well-versed in Afghan affairs, said in a recent interview with Jiji Press.
   "It would take a month" to see if the insurgent group, which retook control of Afghanistan some two weeks ahead of the deadline for U.S. troops' withdrawal, will again rule the West Asian country with brutality, Nagakura, 68, forecast.
    "I have a slight hope that the ongoing negotiations between senior officials of the collapsed Afghan government and the Taliban will end successfully to prevent persecution of women and killing of citizens (who have cooperated with U.S. forces in the country)," he said.
    But he also noted that brutal acts may be seen all over the country except for Kabul because outside the capital would be disorderly.
    Meanwhile, Nagakura, who has published a photo book fearing famed anti-Soviet and -Taliban commander Ahmad Shah Massoud and is running a nongovernmental organization to support children's education in Afghanistan, did not rule out the possibility of the Taliban having dialogue with the international community.

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