映画助成金不交付「違法」 出演者有罪、理由に認めず―「宮本から君へ」・東京地裁
出演者の逮捕や有罪確定などを理由に文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)が、映画「宮本から君へ」への助成金交付を取りやめたのは違法だとして、映画を制作した「スターサンズ」が不交付決定の取り消しを求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。清水知恵子裁判長は「裁量権の範囲を逸脱、乱用した違法な処分だ」と述べ、決定の取り消しを命じた。
原告代理人弁護士によると、文化芸術への助成金不交付を取り消す判決は初めてとみられる。
映画に出演していた俳優のピエール瀧さんは2019年3月に麻薬取締法違反容疑で逮捕され、その後有罪が確定した。これを受け芸文振は同7月、「公益性」を理由に内定していた助成金1000万円の不交付を決定。スター社は、不交付は憲法が保障する表現の自由の侵害に当たるなどと訴えていた。
清水裁判長は、助成金内定の取りやめは不正や条件違反、合理的理由がある場合に限られるとし、「広範な裁量が認められている」とする芸文振側の主張を退けた。その上で、不交付により新たな資金調達が必要になったことを「映画制作への影響は小さいとは言えない」と指摘した。
瀧さんの逮捕後、芸文振がスター社に映画の再編集などを求めていたことにも触れ、「助成金を受けるために意に沿わない再撮影をすることになれば、芸術団体の自主性が損なわれる」と判断。「交付しないことを相当とする合理的理由があると言えない」と結論付けた。不交付が違憲かどうかは判断しなかった。
芸文振は「判決文を精査の上、今後の対応を検討する」とコメントした。(2021/06/21-19:54)
Film Subsidy Withdrawal Due to Actor's Conviction Ruled Illegal
Tokyo District Court ruled Monday that the state-affiliated Japan Arts Council's decision to withdraw subsidies for a film due to the arrest and conviction of a member of the cast was illegal.
In the lawsuit, Star Sands Inc., which produced the movie, "Miyamoto kara Kimi e" (From Miyamoto to You), asked for the cancellation of the decision by the council, under the wing of the Agency for Cultural Affairs, not to give the company subsidies after the cast member, actor Pierre Taki, was arrested and convicted of violating the drug control law, claiming that the decision was illegal.
Handing down the ruling, Presiding Judge Chieko Shimizu said that the decision was "illegal because it deviated from and abused discretion."
According to the plaintiff's attorney, this is believed to be the first Japanese court order to revoke a decision not to grant subsidies related to art or culture.
Following Taki's arrest in March 2019 and his subsequent conviction, the council in July the same year decided to withdraw its tentative plan to give Star Sands 10 million yen in subsides on the grounds of public interest.
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