教訓の伝承は責務　村井宮城知事インタビュー―東日本大震災１０年

　東日本大震災から１０年を迎えるのを前に、宮城県の村井嘉浩知事は２２日、時事通信などのインタビューに応じた。施設整備といったハード面の復興は順調に進んだが、心のケアなどには息の長い支援が必要と強調。震災の教訓の伝承は被災県の責務と語り、語り部の人材育成に力を入れる考えを示した。
　―復興状況の評価は。
　この１０年間は被災者の生活再建を最優先にやってきた。高台などに災害公営住宅を造り、防潮堤や道路を整備してハード面はイメージした形にできたと思う。一方で、心のケアや不登校、コミュニティーの問題はまだ残されている。息の長いスパン（期間）で対策を考える必要がある。
　―震災の記憶や教訓の伝承にどう取り組むか。
　あれだけの大災害を後世に伝えていくことは大きな責務だ。震災遺構などを一部残すように政府に働き掛け、市町村とも協力して主要なものを残すようにしている。映像で残ったものだけでなく、学習や観光の場として多くの人に来てもらうことが重要だ。
　―語り部の人材不足にどう対応するか。
　語り部の人材育成は重要で、一定程度のスキル（技量）を持った人を育てていくことに力を注ぎたい。県は２０２０年度、山元町の震災遺構中浜小学校などを会場に伝承活動の研修会を３回開催し、延べ８３人が参加した。各地の成功事例を研修会で共有し、広げていきたい。
　―これからの被災地の在るべき姿とは。
　この１０年ずっと言い続けてきたのは、被災者に自分の足で立ち上がれるようになってほしいということ。県は側面からサポートするのがこれからの望ましい姿だ。しかし、何もしなければ沿岸部の人口は減っていってしまう。仙台空港の２４時間（運用）化などの施策は１０年先を見据えて打った手。国内外から空港に人を呼び寄せ、沿岸部の交流人口を増やすことで定住人口の減少を少しでも抑えていきたい。（2021/02/23-07:11）

Handing down lessons learned from the March 2011 earthquake and tsunami to the next generation is the responsibility of prefectures devastated by the disaster, said Yoshihiro Murai, governor of Miyagi, one of such prefectures.
   In an interview with media agencies on Monday, Murai showed a readiness to nurture human resources who can act as storytellers about the disaster, which mainly hit the Tohoku northeastern region nearly 10 years ago.
   Looking back on the decade since the catastrophe, Murai said infrastructure reconstruction in the northeastern prefecture of Miyagi has progressed smoothly, while stressing that long-lasting support is needed for the mental care of people affected by the disaster.
   "I put priority on rebuilding the lives of the afflicted residents in the last 10 years. I believe reconstruction has been achieved in line with expectations on the facilities and infrastructure side, with replacement housing units built on higher ground, and seawalls and roads constructed."
   "Meanwhile, mental care, school nonattendance and community-related issues remain unresolved," the governor said. "Measures based on a long-term perspective are needed."