「明るい将来、心待ちに」　コロナ禍の早期収束願う―天皇陛下、６１歳に

　天皇陛下は２３日、６１歳の誕生日を迎えられた。これに先立ち、お住まいの赤坂御所（東京都港区）で記者会見。新型コロナウイルスの感染拡大に触れ、「国民の皆さんが痛みを分かち合い、協力し合いながら、コロナ禍を忍耐強く乗り越える先に、明るい将来が開けることを心待ちにしております」と述べ、早期収束を願った。
　陛下は日本の歴史の中では天変地異や疫病のまん延など、困難な時期が幾度もあったと指摘。奈良の大仏を造った聖武天皇や、疫病収束を願って般若心経を書写した嵯峨天皇を例に挙げ、「その精神は現代にも通じるものがある」として、「国民の幸せを常に願って、国民と苦楽を共にすること」が皇室の在り方や活動の基本だと話した。
　昨年１１月からはオンラインを活用した交流も始まり、元日には皇后さまと一緒に初めて国民へのビデオメッセージを出した。陛下はオンラインの活用について「現状では有効な手段」と評価し、引き続き状況に応じて活用していく考えを示した。
　東日本大震災の発生から間もなく１０年になることについては「今思い出しても胸が痛みます」と振り返った。今月１３日に福島県沖で起きた地震の被災者に見舞いの言葉を述べた上で、震災については「現在も続いていることとして考える必要がある」との見方を示した。
　今年１２月に２０歳となり、成年皇族としての活動を始める長女愛子さまには「感謝と思いやりの気持ちを持って、一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたい」と期待を込めた。
　秋篠宮家の長女眞子さまと小室圭さんの結婚については「国民の間でさまざまな意見があることは私も承知しております」とした上で、「秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております」と語った。
　新型コロナの感染拡大を受け、誕生日の一般参賀は昨年に続いて行わない。皇居・宮殿などでの祝賀行事も規模を縮小して実施する。（2021/02/23-00:49）

Japanese Emperor Naruhito, who turned 61 on Tuesday, has expressed hopes for a bright future after the coronavirus pandemic is put to an end.
   "I'm looking forward to a bright future that will open up after the whole country overcomes the coronavirus crisis patiently by sharing the pain and working in cooperation," the Emperor told a press conference held at the Akasaka Imperial Residence in Tokyo ahead of his birthday.
   The Emperor spent most of the 40-minute session talking about the pandemic, expressing his gratitude for efforts made by each and every medical worker and the general public.
   He said Japan has faced many difficulties in its history due to natural catastrophes and plagues.
   Referring to Emperor Shomu, who built the huge Buddha statue of Nara in the eighth century to wish for an end to a national crisis, and Emperor Saga, who transcribed the Heart Sutra, a Buddhist holy text, in hopes of ending a plague in the ninth century, Emperor Naruhito said people living in the present age can learn from their spirit.