物流効率化は道半ば=運転手の負担減、なお課題―規制強化1年

トラック運転手の時間外労働に上限が課された規制強化から1年が経過した。輸送力が低下する「物流2024年問題」の発生が懸念されていたが、政府は現時点で「深刻な物流停滞は起きていない」(国土交通省)とみる。だが、物流効率化はなお道半ばで、運転手の労働環境も大きく変わっていないのが実情だ。
24年問題に対応するため、物流業者や荷主の間では配送網見直しや共同輸送などの取り組みが進んだ。日本郵便と西濃運輸は今年から長距離輸送の共同運行を始める計画。ヤマト運輸や佐川急便などは宅配便の再配達を減らそうと、荷物を玄関先などに置く「置き配」を本格導入した。食品メーカーやコンビニなどでも商品の共同配送を模索する動きが広がる。
トラックに関しても、2台分の荷物を運べる「ダブル連結トラック」を導入する運送業者が徐々に増えている。政府は通行可能な高速道路の拡大などを通じ、普及を後押しする考えだ。
ただ、こうした対策が必ずしもうまくいっているわけではない。日本郵便とヤマト運輸は小型荷物の配達委託で提携したが、実行段階で対立し、訴訟にまで発展した。企業の間では輸送手段を船や鉄道、航空便に切り替える「モーダルシフト」の動きも見られるが、コストや輸送時間などの面で課題は多い。開発が進む自動運転トラックも本格的な実用化にはまだ時間がかかりそうだ。
運転手の負担にも目立った改善は見られない。物流ITベンチャーのHacobu(東京)が3月に運転手を対象に実施した調査では、残業規制強化後も配送先での荷待ち時間が減っていないとの回答が半数を超えた。また、全体の7割以上が1日の拘束時間が10時間以上と回答した。
政府は、30年度の輸送力が需要に対して最大34%不足すると予想。ニッセイ基礎研究所の吉田資主任研究員は「人手不足や輸送コスト高騰への対策に着手する企業が増えたが、まだ十分ではないとの認識を持つところは多い」と指摘し、労働環境の改善や、輸送効率化に向けた設備投資などの動きは今後も続くと分析する。
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