製造業、被災影響低減に奔走=生産拠点複数化、防潮対策も―南海トラフ

政府が公表した南海トラフ巨大地震による国内の生産・サービス活動の被害想定で、最大約45.4兆円に上る影響額の半分近くを占めるのが自動車などの製造業だ。政府は経済的被害を小さくするため、仕入れ先や生産拠点の複数化や施設の耐震化に取り組むべきだと提言。被災想定地域に拠点を構える各社は、災害への備えを急いでいる。
トヨタ自動車は2011年の東日本大震災で、東北地方を中心に仕入れ先の中小部品メーカーの拠点600カ所以上が被災。サプライチェーン(供給網)が寸断され、豊田章男社長(当時)や専門チームが現地で復旧支援に当たった。南海トラフ地震では主要拠点の東海地方で大きな被害が予想され、同社は東北や九州への一部生産移管も視野に体制の見直しを検討している。
ホンダは24年の能登半島地震で取引先の部品メーカーが被災し、主力軽自動車「N―BOX」の一時減産を余儀なくされた。南海トラフ地震で被害が予想される三重県内に生産拠点を保有。同社関係者は「従業員の安全をまず確保し、部品の供給が滞った場合でもなるべく操業を維持できるようシミュレーションしている」と話す。
生産拠点への被害軽減に向けた取り組みも急ぐ。パナソニックホールディングスはグループの徳島工場(徳島県松茂町)で防潮堤を構築。三重県の津工場では受電設備の設置場所をかさ上げし、金属加工の重要生産ラインを1階から3階に移した。化学大手のレゾナックホールディングスは昨年8月の南海トラフ臨時情報発令を受け、事業継続計画(BCP)に沿って食料備蓄などの災害対応を確認した。東芝は経営トップも参加する大規模地震を想定した初動対応などの訓練を、定期的に行っている。
政府の報告書によると、BCP策定率は大企業が約76%、中堅企業が約46%に達したがそれぞれの目標値である100%、50%には未達。報告書は「日本の競争力を上げるためには中小企業のBCP策定のさらなる推進が必要」とした上で、策定率の向上と併せて実効性を向上させる仕組みが必要だと指摘した。
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