2%物価目標、すでに達成=山口広秀・日興リサーチセンター理事長―大規模緩和1年

―日銀がマイナス金利解除に踏み切ってから1年。これまでの評価は。
日銀は政策金利を1月に0.5%まで引き上げたが、消費者物価上昇率は3年近くにわたり2%を超えている。政府の物価対策がなければ実勢では3%を上回る物価上昇となっている。日銀はもう少し早めに引き締めに動いておくべきだった。
―2%の物価目標の持続的な実現は可能か。
高めの物価上昇が続いていることからすれば、すでに物価目標は達成していると言える。今年の春闘もかなりの賃上げ率が見込まれ、物価の実勢は目標の2%を大きく上回る状況が継続しそうだ。その意味で日銀の政策対応は後手に回り続けることになる。
―先行きの日銀の金融政策は。
米トランプ政権の関税引き上げや財政政策がこの先どのように展開していくのか見極めは難しい。日銀としても実際の動きをにらみつつ、欧州や中国の経済動向なども踏まえて利上げのタイミングを模索していくのではないか。まだ利上げ余地はかなり残っている。もちろん実際に政策金利をどこまで引き上げるかは内外の経済情勢次第だ。
―今後の経済動向は。
トランプ政権の関税引き上げが1回限りであれば、米国や世界経済への影響は限定的だ。ただ、報復関税の応酬になれば世界的に物価が上昇し、景気に非常に強い下押し圧力がかかる。米国だけでなく、日本が(不況下の物価高である)スタグフレーション的な状況に陥るリスクも否定できない。
[時事通信社]
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